第19話 早乙女姉妹はEカップ
*今回出てくる【自称最強】は自分の童貞作? 処女作?です。
もちろん、書籍化とかアニメ化とかもしてないです。
ただ、供養してやりたかったのでこの世界線で書きました。
会計は、奢らせることはせず、各々自分の食べた分を払った。
奢った方がよかったのかな。
こんな美人レンタルしたら普通じゃ大金払うしな……。
でも、俺そんな食ってないし。
モテる男は払うものなのかな?
やはりそこら辺の相場感はわからないな。
これからは、コンビニに寄って、姉の方の弁当を買って、早乙女家に置いてある俺の荷物を回収して帰る。
お楽しみのピークは過ぎたという感じかな。
俺らは、コンビニに向かった。
コンビニ着くと、入り口で俺の好きなアニメ、【自称最強】の1番くじがやっているではないか!!
しかも過去編バージョンだ!
俺の家の近くで探したんだけど、やっていなかったんだよな。
やりてーな。
ただ、これ結構下ネタ多いんだよな。
妹の前ではやめておいた方がいいか。
「あーー!! 自称最強じゃん!」
「え?」
「え?」
「知っているの?」
「私、結構アニメ見るよ?」
「そうなんだ!」
下ネタ耐性あるのかな?
それとも、ファンタジーを楽しみにしているのかな。
「姉の方も見るの?」
「まあ、あっちは話題のはそれなりにって感じかなーー」
「私ね! 自称最強の【モモ】てキャラが好きなんだ!!!!」
クールな妹が目をキラキラさせている。
好きなアニメの話になるとテンションが上がるタイプであったようだ。
「たしかに、いいキャラだよね! メインヒロインだし」
「そうなの。顔も可愛いんだけど、スタイルも良くて」
「確かに似てるもんな。スタイル」
「えー全然だよ? モモはさCカップじゃなかった? 設定。私はさEカップなんだけど、やっぱ肩凝るし、動きにくいし。Cくらいがねちょうどいいんだよーー。だからめっちゃ強いんだよねー!! 本当に羨ましい!」
え。ちょ。ま。え。い、今なつった?
さらっとEカップと言わなかった?
聞き間違いか?
須子の推定が当ってたからあれだけど…
ファミレスでピークかと思ったら、バストサイズ公表という素晴らしいことが!!
しかも、一卵性だから、二人分を知れたというお得感!!
やっぱり俺……今日死ぬのか?
「い、色々あるんだな……」
妹は特に動揺している様子もない。
一番くじに夢中だ。
本当に、無意識に色々してくれる奴だな。
「ねえ、せっかくだし、クジ、一緒にやらない?」
「別にいいよ」
でも、こういうのは当たらないんだよな。
引いている時に店員に見られるから緊張して、集中して引けないし。
でも、人と一緒に引いたらどうなるのかな?
A賞とか当てちゃったりするのかな。
それで、少しかっこつけちゃったりして?
今回のA賞は主人公の【クロ】が、最強の能力者だった頃の大きいフィギュアだ。
俺は無難だが、主人公が好きだ。
27歳でフリーターのくせに、10代女子と共同生活しているから、結構羨ましいものだ。
「何狙ってるの?」
「D賞のアクリルスタンド!」
「もっと上狙うのかと思った」
「だって、モモのフィギュアないんだもん……」
「本当好きなんだな」
まずは、妹がくじを引いた。
「F賞の缶バッチだった……。 モモいないよ……」
F賞には残念ながらモモはいなかったようだ。
妹の方は缶バッチ中では、無難に主人公のクロを選んだ。
「いいじゃん!クロ!モモが唯一愛した男じゃん」
「そうだし、いいけど、モモが良かったーー。 何狙うの?」
「もちろん、A賞だろ」
「おお!!いいね!」
いつもより視線は多いのに、緊張はしなかった。
妹の方が隣にいると店員の視線がそっちに向いているからかもしれない。
それとも、妹の方がそばにいると、どこか安心しているからかもしれない。
今日は運勢がいい。
もしかしたら、ここでA賞くるか?
『かっこいい!』的な流れくるか?
ホッチキスをウキウキ気分で外してみると……
はい。
D賞でした。
「おお!! いいなーー」
妹の方は羨ましそうにしている。
俺は、A賞以外は特に欲しくはなかった。
「モモのが欲しいんだろ?」
「くれるの?」
「うん。 別に他に欲しいのもないし」
「ほんと! せめて交換するけど……私のF賞だし…」
俺的には、Eカップてことを教えてくれたから、A賞みたいのものなんだよな。
「別に気にしないから!」
「え? 本当にいいの??」
「うん。俺、クロ好きだし」
「本当に! ありがと! じゃあ、家帰ろうっか!」
「おいおい。姉の方の弁当を忘れないでくれ…」
「あ……」
無事姉の方の買い物も終わり家までついた。
姉の方はまだ寝ていたようだ。
疲れさせてしまって、本当に申し訳ない。
俺は手に持っていた缶バッチを、リュックにつけた。
今までは2次元の缶バッチなどつけていたら、馬鹿にされると思っていた。
たかが缶バッチだが、これは俺にとっては、お守りみたいなものだ。
早乙女姉妹との思い出がいっぱい詰まっている。
バスに一緒に乗って、リレー走って、ファミレスに行った。
昔の自分では考えられない経験をした。
キモすぎて、他の人には言えないが、このお守りがあれば、病気を治せるかもしれない。
「おお! いいカバンになったね!!」
妹の方が褒めてくれた。
「ありがと!」
もし、他の女子に馬鹿にされても、妹の方よりブスなので何も思わない。
散々俺のことを馬鹿にすれば良い。
あ、でも、姉の方にバカにされたらどうなるんだ?
まあ、バカにしないだろう。
「じゃあ、帰るよ。色々ありがとう」
「駅まで送って行くよ?」
「大丈夫。一人は危ないから家にいなよ」
「別に平気だよ?」
「いいから! 結構いい時間だから!」
「ありがとう。じゃあ、また学校で」
「あ、うん。 ただ、あの〜、ジャージ返していただけますか?」
「あ、忘れてた。でも、家で洗って返すよ?」
「早乙女家の洗濯機を使わせるわけにはいかない」
「……じゃあ、脱がして? じゃなきゃ返さない!」
は?
妹の方は、腕を広げて、脱がせろと言わんばかりに大の字になって笑っている。
「子供じゃないんだから……」
「えーいいじゃん!」
チャックをおろすだけ。
ただ降ろすだけだ。
俺は妹の方に近づいていく。
なんだこれ。心臓の音がでかい。
聞こえてないか? 大丈夫かな。
体が暑くね?
落ち着け。自分のジャージを触っているだけだ。
てか、妹の方も息上がっているぞ。
「……ほんとにやるの?」
「うん……」
「じゃあ、おろすよ?」
「……いいよ」
俺はチャックを、体に触れないようにつまみ、ゆっくりとおろした。
「……おろしたよ……」
「……」
「ねえ、おろしたよ?」
顔を赤くして、少しぼーっとしている。
俺と同じ気持ちなのかな……
それとも、キモくて嫌なのかな。
俺自身どんな顔をしたかはわからない。
ただ、耳は赤くなっているのはとりあえず間違いない。
「……ありがとう。 ねえ、一応、連絡先、交換しない?」
「そ、そうだな。何か起こったとき連絡は必要だからな」
俺らはラインを交換した。
「じゃあ、またね!」
妹の方は手を振った。
だからやめろって。その姉妹の癖。
俺はいつも通り会釈をした。
「ねえ、なんでいつも手振り返してくれないの?」
「まず、振り返している自分を俯瞰してみると気持ち悪いから。そして、違った時に恥ずかしくて死にそうだからです」
「キモくないから! まあ、違った時は恥ずかしいよね! じゃあ、図書室では絶対に振り返してね! 約束だから!」
「約束はちょと……」
「だーめ」
「ではまた」
「うん! バイバイ! 楽しかった!」
『俺も!』と言う勇気はまだなかった。
ああ。楽しかった。
帰り道では、早乙女姉妹のことしか考えられないという変態ぶりに自分でも驚いた。
結果的には、前半は姉の方と、後半は妹の方と関わるというクズ男みたいなことをしたが、狙ってそうなったわけではないので許して欲しいところだ。
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