第18.5話 妹は無意識下ネタ製造機

「ねえ〜待っている間、間違い探ししよ?」

「間違い探し? え、出てくるメニューとか違うの?」

「いやいや、え? 知らないの?」

「……うん」

「ここのメニューにあるんだよーーほらーー!」

メニューにある間違い探しの絵を見せてくれた。


「じゃあ、見つけられなかった方は、罰でまずいジュース飲むこと!」


一度はこういう生活してみたかった。

みんなは中学生で叶えているだろうがな。


今やりたいことをひとつ一つ叶えられてきている。


あれ、もしかして….…死亡フラグというやつか!?


「真剣勝負?」

「うん!」

「いや。待て。その感じ……答え知っているだろ?」

「……。 いや!?」

「絶対知っているやつだ。 そんなに更新もされないだろ?」

「仕方ない……。じゃあ、そうだな。15秒見せるから6個全部当てたら飲まなくていいよ!」


完全に詰んでいるではないか。


もしかして、前に来た男子ともこういうことをやっていたのかな。

俺が初体験だからって……


きっと、昔に一緒にきた男子と比べているのか。

『あの人は何分だった〜』とか。


しゃーない。

15秒で決めてやる! 


「じゃあいくよーー」


あれ?

初めて見るが、意外と簡単だったぞ。


特に問題なく6つ見つけられた。

これあえて外したら、まずいんじゃないか?


罰ゲームで飲みたいと思っているドM野郎に思われそうだ。


「はーい。15秒経過!」

メニューを没収された。


「じゃあ、思い出しながらやってね!」


正直、正解して、まずいドリンクを飲ませてやりたい気持ちもある。

M気質の妹も見てみたい。


『何この味。苦―い』と言わせられれば勝ちである。


やはり、須子と長くいすぎたな。


「まずは、右の下の女の子が男の子になっている、そして、左上の……、で最後は……」


俺は6つを指摘した。


なぜか驚いた顔をしている。

あれ。 俺がちゃんと間違えるべきであったか?


「え。私やった時30分かかったんだけど……みんなも結構かかったよ?」

「え。そうなの? 結構簡単じゃね?」

「あー! 知ってたな!? 知らないふりをしてーーファミレス結構来てたなーー? 騙されたよ! 長い伏線回収だね」


いやファミレス童貞なんだが……

とりあえず、そういうことにしておこう。


早すぎると、童貞だと思われないのか……


「ば、バレたか……」

「バレバレだよ!」

「で、罰ゲームは?」

「んー。私の飲んでもらう!」

「ちゃんと条件達成したじゃん」

「不正行為は失格です」


一応真剣にやったのに残念だ。

まあ、ちょっと、いや結構楽しみである。


「ねーねー! 兄弟いるの?」

「さあ?」

「なんで、教えてくれないの?」

「国家機密レベルの情報だからだよ」

「わかった! 弟がいるんだ!」

「え!? なんで!?」

「なんとなく、おにーちゃんぽい!」

「さあ、どうでしょう?」

「えー。教えて! 教えて!」


子供のように駄々をこね始めた。


「さっきから思ったんだけど酔っている?」

「まあ、こんな感じだよ? 学校じゃなきゃ」

「まあ、学校外はこれが初めてか。結構、話してみると姉と違うな」

「そうだね! 私は妹だから、結構甘える方かも」

「見た目はクールなのに意外だな」

「でも、甘えるのは心開いた人くらいだよ?」


え。

さっきから、俺に子供みたいに甘えてね?

心開いているってアピール?

この程度は違うってこと?

女って、わからねーーーー。


「そ、そうなのか…」

頼んできたメニューが来た。


「おおーー! 美味しそーーー! 私ソーセージ好きなんだよね!! なんでかわかる?」


これは下ネタか?

とうとう来たか? 

待て。せっかくここまで来たんだ。


失敗したら終わりだ。

ここはスルーだ。


「好きに理由はないだろ……」

「あるよーー? だって私は一卵性ソーセージだから!!」

「お、おう……」


あっぶねーーーーーーー!!


「えー、ちゃんと笑ってよーー」

「ハハハ」

「棒読みすぎるよーー」

「と、とにかく食べよう」

「そうだね! いっただきまーす!」


そういって、妹の方はソーセージを食べようとした。

「あちっ」

「ま、まあ、そ、それはきたばっか…だからな…」


ソーセージに『フーフー』と息をかけながら唇でツンツンしている。


え。さっきから、狙っている?

もう完全にあれだぞ?


でも、妹の方は、ベットの上にあった下着みたいに、結構天然なんだよな。


無意識でスーパーどすけべ行為をしてくれるタイプだな。


「噛む勇気でない。なんか肉汁ドバッとか出てきたら怖いし……」

「ぜひ優しくしてほしい」

「なんで?」

ポカンとした様子で俺を見る。


「とにかく、色々だ」

心の声が漏れてしまったが、よくわかっていない様子なので良かった。


とりあえず妹には下ネタを言うのはまだ先だ。


先に姉の方にしよう。うん。


無事に、ソーセージを冷まして、黙々と食べている。



俺も、パフェをいただくことにした。


やはり甘いものは体に効くな。

特に脳に良い気がする。


口が殴られたせいで切れて染みるのがちょっと興醒めだが慣れているのでいいか。


パフェを味わっていると、じーっと俺のをすごく食べたそうに見ている。


「……食べる?」

「え!? いいの?」

「別にいいよ」

「やったね!」

「じゃあ、店員にもう一つスプーンをもらおう」

「いいよーそれそのままで!」


それって間接キスじゃね?

気にしない人なのか?

そりゃ、キスした仲だよ。 


でも、あの時はそっちは無意識じゃん。


無意識でどすけべイベントするタイプだがら仕方がないか。


それにあのキスはさ、唇同士じゃん

これの方がなんか口の中感があるじゃん……


一度キスしたことある人物への間接キスに緊張する俺も変なものだが。

断ると変に意識していると思われるか。


「じゃあ……どうぞ」

俺はスプーとパフェを差し出した。


「えーー。食べさせてよーー?」

「じ、自分で食えるだろ?」

「えー。ファミレスでは男子が女子に食べさせるものなんだよ?」


そうなのか!?

だから、さっき、食べせてたカップルがいたのか……

あの時は、ディスってごめんよ。


「わかったよ……」

「…え…」

「え? 冗談? どっち?」

「……食べさせて?」


長くてサラサラした髪を耳にかけ、『あーん』といって口を開けた。


スプーンを持つ手が震えている。

でも、今までの震えとは異なり、意識しようと思えば抑えられる震えだ。


とにかく、平然を装え。 童貞だからこそ見栄を張れ! 


「ほいよ」

なんとか口に運ぶことができた。


「美味しい…」

顔を真っ赤にして答えた。

恥ずかしいのはこっちだよ…


「お、おう…」


「……間接キスだね?」

ぼそっと呟いた

確信犯か?

やっぱり、キスした記憶あるのか?


知らないふりをしなければ。


「ん? 今なんか言った?」

「……何も言ってないよ?」

「ここうるさくて聞こえなかったからさ。気のせいだったみたいだね」

「……」

「……」


どうしても聞きたいことがあった。


さっき姉の方をベットに下ろした時、もしかして、キスしたのは、姉の方なんじゃいかと直感で思ったんだが。


それに、姉の方なら、気を失うのが論理的に当てはまるんだけどな。


「具合とか悪くなるタイプの人?」

「いきなりどうしたの?」

「なんとなく。急に倒れたりすることある?」

「んー。貧血の時とかはあるよ? 」

「そっか。 あとさ、昔から髪が長いの? 」

「まあ、ここ最近はずっとかな。 中学入ってからは、どっかの誰かさんみたいに、間違えないように私が長くて、陽菜ねーが短い感じ!」


じゃあ、やっぱり妹の方なのか。

他にも色々考えられることはあるがさすがに確率が低すぎるか。考えすぎか。


「そっか! ありがとう」

「……長いの嫌い?」

「いや? 長い方が好きかも」

「そうなの! なんの髪型が好き?」

「特にないいよ」

「一つくらいはあるでしょ?」


あるに決まってるだろ。

ポニーテールもツインテールも好きだ。


妹なら何が似合うかな。

リレーの時、ポニーテールにしてたし、ツインが見たいな。


ツインテールって2次元とかではよく見るが、3次元ではなかなか見ないし、キモオタに思われるかな。


でも、他の髪型の名前知らないしな。


「強いて言うなら、つ、ツインテールってやつかな? よくわからないけど……」

「これかな?」


そういって、手首につけていたゴムを口に咥えて、髪を束ねて、ツインテールにしてくれた。


リクエストしたみたいになったぞ?


「どう? 似合ってる?」


クールな妹が、突然癒し系に変わった。

女子が反射的に『かわいい』と言うように、脊髄反射で言うところだった。


「うん。に、似合ってるよ」

「やったー! 今度からこの髪型にしようかな?」

「学校では結ばなくていいんじゃないか?」

「……やっぱり、似合わない?」


そうじゃねーよ。

俺のもなんでそんなことを言ってしまったのかと反省しているよ。


ただ、他の男には、できる限り、見せたくはなかったんだ。


「似合ってる。 ただ、ほら、あの、クールな方がイメージ的に似合うだろ?」

「そっか!」


まあ、納得してくれたならよかった。


俺らは、少し溶けたパフェと少し冷めた食事を食べた。


途中、ドリンクバーで妹が作った、アイスコーヒーと乳酸菌が入った飲み物を混ぜたドリンクを飲まされた。


罰ゲームというものを初めて味わった。

不味かった。


あまり大袈裟なリアクションは苦手だが、本気でまずくて、いいリアクションだったのかもしれない。


妹の方が笑ってくれたので、良かったとしよう。


口直しに、俺はいつも飲んでる、ガムシロしか入れない、ガムシロドリンクを作って飲もうとしたところ、水を持ってきたと勘違いして、『水飲みたかった! ちょうだい!』と妹が俺が止める前に勝手に飲んだ。


びっくりした顔をしながら、ドロドロしているため、なかなか飲み込めず、ゆっくり飲み込んで、『何これ。 甘―い!』と言った。


ニアピン賞といったところであろう。



最高の童貞卒業だったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る