第7話 目標は下ネタを言うこと
しばらくは体育祭に向けて、授業と体育祭の練習で学校の日々は過ぎていった。
姉の方とは、初回以降なぜかラインがずっと続いてしまっている。
初めは、業務連絡程度だったが、少しずつ雑談などもできるようになってきた。
最も、姉の方から話題を振ってくれるからではあるが…
あとは、タメ語で話せるようになった。
『なんでタメ語じゃないの?』といわれ、タメ語に変化していった。
いつかは、女子に下ネタを言うという昔からの夢を叶えたいところだ。
妹の方とは、奇跡的に図書室での筆談が続いている。
実際はほとんど話したことがないという不思議な状況だが、楽しいからいいか。
筆談も、妹が『なんでタメ語じゃないの?』といってきたので、タメ語に変更になった。
ただ、ラインやSNSよりは親密度は増している気がする。
目の前に、実際の人物がいて、その人の筆談を見て返す。
昼休みという短い時間ではあるが、濃い時間だと思う。
筆談の中では冗談も言えるようになってきた。
実際に笑っているのを見ると少し安心する。
今までのイメトレは間違いなかったと努力が報われた感じがする。
俺だけが親密度が上がったと感じていたら泣きたいが…
双子の特徴もなんとなくはわかってきた。
姉の方はお姉さん気質で面倒見がよい感じだ。
よく冗談を言って俺をいじってくる。
もしかしてちょっとSなのかもしれない。
というか、絶対Sだ。
だって、ラインで『私ってSなんだよね』とか言ってたし。
『ムチとか使うの?』と聞きたかったが、我慢した。
少し心配なのは、よく眠そうにしている。
具合が悪くないといいのだが…
妹の方は結構無口な方であり、一人の方が好きなタイプだ。
以前の俺みたいに、ぼっちというわけではない。
仲良い女子はいるようだが、姉のように、男子と話すわけではないようだ。
クラスの男子でさえ把握していないこともある。
もしかして、俺って特別の存在なんじゃ……
『男友達は初めてかも』と言われた時、そう思わずにはいられなかった。
何せ、キスをした仲だからな。
妹の方に下ネタ言ってみたらどんな反応するのかは気になるところではある。
妹の性格はMなのかもしれない。
別に聞いたわけではない。
姉がSなんだからMであってくれという俺の願望だ。
Mかどうかはいつか検証してみたいと思う。
須子と高安については、まーいい奴。
須子は同級生同士のヌードデッサンがあるかもしれないと美術部で頑張っているが、いまだにヌードデッサンの時間はないと悔しがっていた。
高安は、いいボケでサイトで1位を取れたと喜んでいる。
そういえば、最近はカップルが増えてきたような気がする。
駅に着くと男か女のどらかが改札付近で待っている。
あー、嫌だ嫌だ。
須子曰く、発情期イベントによるものだそうだ。
そう。体育祭である。
体育祭を一緒に過ごしたいため、この時期カップルが量産されるらしい。
体育祭に一緒に行くバカップルもいるらしい。
体育祭に一緒に行ったやつはバカップル決定ということで認識しておこう。
体育祭のことも色々決まってきた。
俺の学校は8組あるが、赤、白、青、黄色の4色に分かれる。
そして、種目は、学年ごとに戦う。
体育祭そのものが、3年生メインのイベントのようだ。
1組は2組と一緒であり、赤組だった。
つまり…早乙女姉妹が揃うイベントなのである!
俺にも、何かイベントが発生するかもしれないから、かっこいいパンツでも新調でもしておこう。
種目も結構決まってきた。
色々な種目があるみたいだ。
大縄跳び、棒倒し、リレーなど色々な種目があるようだ。
赤組の2年生は、多目的教室で種目決めが行われた。
俺は、赤組で2番目に足が速かったみたいだった。
2組の担任は体育教師。やたらと熱心である。
『選抜リレーに出ないか?』と言われた。
選抜リレーとは、最後の種目で、一番点が高い、色別対抗リレーである。
『足首の調子が良くないから出れない』と断っておいた。
当たり前である。
そんなに注目される競技に出たら死んでしまう。
「やらないの?」
たまたま、近くの席に座っていた、妹の方がいつも通り、筆談をしてきた。
一瞬、エロい誘いかと思ったが、おそらくリレーの話であろう。
早乙女姉妹は、身体能力が高く、女子の中で足が速かったみたいだ。
リレーの選手に選ばれたそうだ。流石である。
少し惜しいことをしたとも思ったが、俺は、いったい何を勘違いしているのだろうか。
美女二人とイベントシェアして何になるというのだろうか。
最近連絡し始めたぐらいであろう。
そもそも、俺には持病がある。
目立って、リレーなどをしたら、コケて醜態を晒すか、硬直したまま無理やり体を動かして、アキレス腱断裂であろう。
持病が治る唯一の方法はあるっちゃある。
キレることである。。
昔から、キレた時だけは、人前だろうと、通常通りの力が出せる。脳の指令通りに体が動くのだ。
持病のことを、医者に相談したら、脳のストッパーを人より多くつけておかないと、俺の場合、やばいそうだ。
あれ。俺…犯罪者? 絶対ヤブ医者だろ。
頼むから、病気の治し方を教えてくれ。
とにかく、俺の選んだ種目は、人に迷惑をかけず変に注目されない棒倒しにした。
確かに、敵陣からの人は多くくるだろうが、逃げていればいい。
それに観客はいちいち個人のことなんて注目しない。
人の目線を感じないから安心だ。
須子も高安も一緒に参加してくれるので安心だ。
なぜ、日記を書いているのかというと、古文で土佐日記の冒頭を読んだので、陰キャの俺も書いてみようと思っただけだ。
今までの学校生活とは異なり少し、人間的に楽しめてるので少し書いてみたくなった。
今頃ではあるが、日記を書くのが馬鹿馬鹿しくなったので、俺は一度書いた日記をシュレッダーにかけた。
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