第3.5話 本当にキスしたのはどっち?
その日の夜、勉強の合間、深月は月城との筆談の紙をじっと見ていた。
深月は自分の気持ちに困惑していた。
今まで自分に話しかけてくる男子は、自分に対するデートの誘い、陽菜の情報欲しさなど、つまらないものばかりであった。
話しかけてくる男子の見え透いた下心に本当にうんざりしていた。
どこか自信ありげに誘ってくる男子の表情も嫌であった。
深月は、男子があまり好きではなかった。
そんな中、月城だけが違かった。
月城は本当に陽菜と間違え、下心なく、自信ありげに声をかけてくる男子とも異なっていた。
図書室で月城に会った深月は、3月の出来事を思い出していた。
編入試験の日、深月と陽菜は、別件で学校に来るよう言われていた。
その日は、モデルの撮影が午後にあるため、陽菜がウィッグで髪を深月のように伸ばしていた。
先に職員室に向かっていた深月は、陽菜がなかなか来いので、迎えに行ってみると、廊下に横たわっていた。
陽菜はよく具合が悪くなる。
ただ、陽菜には目立った外傷がなかった。
深月が声をかけた時に、一瞬だが、男の人後ろ姿が見えていた。
天明高校とは異なる制服を着ていたのは見えた。
そして月城が、その人物にどこか似ている気もしていた。
編入生であることを聞いて、深月はその人物が月城でないかと思った。
もしかして、陽菜を助けてくれた恩人なのではないかと。
そう思って、編入試験のことを聞いたが、筆談で詳しく説明するのは面倒であった。
また、違った時に気まずくなりたくなかったのである。
本能的に、初めて男子に嫌われたくないと思っていたからでもある。
深月は一年生の頃から昼休みは図書室で勉強していた。
これからも図書室に行くことに変わらないが、図書室で月城に会いたいという気持ちも生まれていた。
初めて男子と会話してみたいと思った深月であった。
とは言っても、深月は男子との会話は苦手であった。
筆談なら出来るかもしれない。
そう思いながら、次の日を楽しみにして、勉強を再開した。
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