第19話 甥っ子の闇の深さ
ピロリ〜ピロリ〜。
あっ、姪っ子からラインだ。
凛子:
『姪っ子ちゃん、こんばんは〜。
どうかな?元気にお仕事頑張って行ってるかな?』
姪っ子:
『うん!凛子ちゃんと太陽くんのおかげで、頑張って行ってるよ〜。』
『それでね、今日は凛ちゃんと太陽くんに嬉しいお知らせがあるの。』
凛子:
『なぁに?』
姪っ子:
『あのね、実はね、私のね、描いた絵がね、売れたの。』
凛子:
『えっ!すごいねー!』
『どんな絵?みせて〜。』
姪っ子:
『はい!これだよ〜。』
凛子:
『わぁ〜かわいい。これは色んな動物たちが音楽会をしているのかな?
色合いもとっても優しい感じで、これは色鉛筆で描いてるのかな?』
凛子は姪っ子の成長ぶりに、心がめちゃくちゃ癒されたのだった。
最近、めっきり涙腺がゆるくて…感動して泣いてしまった。
姪っ子:
『凛ちゃん、泣いてるの?』
凛子:
『あぁ〜ごめんごめん。これは嬉しくて感激しちゃって。』
姪っ子:
『そんなに嬉しいのね。
私、これからも頑張って、喫茶店に美術に頑張るわ!』
凛子:
『うん、めちゃくちゃ嬉しい。
また展示会の時も見に行くね〜。
またね〜。』
と言って、凛子は姪っ子との会話を終えたのだった。
なんという充足感だろう。
ほんの数ヶ月前は、每日每日泣いて泣いて、辛い思いをしてた姪っ子だったのが、嘘のようだわ。
姪っ子ちゃん、よく頑張ったね!!
偉いぞぉー!!
凛子は、姪っ子ちゃんの才能を
これからも
信じてるよ〜
味方だよぉ〜
今の凛子には、姪っ子も甥っ子も
めちゃくちゃ愛しい存在であった。
そんなひとときも束の間…。
またもや…大問題が起きつつあったのだった。
実は、今、全世界を騒がしている『コロナ』と言う、未知のウィルス感染の非常事態が起きていて、その事で、甥っ子もその被害者でもあったのだった。
甥っ子の企業はサービス業なので、『コロナ』の痛手はかなり強く、その事で、休みの日も変則的だったり、休みの日に寮でひとりで居る事が多過ぎる事が増えたのだった。
部屋でいつも『コロナの実態』の模様のテレビばかりを見ているのもよくなかったのか?
元々、甥っ子はネガティブなパワーが強い為、引きこもりから、軽い鬱状態になって行ってたのだ。
凛子と太陽も、時折、家に甥っ子を連れてきて、晩ご飯を一緒に食べたりはしていたのだが…。
さすがに、毎夜ではなかった。
元々、甥っ子は姪っ子のように、自分の気持ちをハキハキ言うような、積極性さも弱い方なので、こちらが察知して、引き出してやらないと行けない所があったのだった。
凛子なりには気にかけて、甥っ子のサインを見逃さないようにはしていたつもりだったのだが…。
每日一緒に居るわけではないので、電話で話している中でしかキャッチする事が出来ていなかったのもあったのだ。
ある時…甥っ子の所長さんから電話をもらって、初めて…『今週、1日も出勤していなかった』事を知ったのだった。
慌てて、凛子と太陽は甥っ子の寮に向かって、会いに行ったのだった。
甥っ子の部屋は、もう部屋とは呼べるものではないくらいに…荒んで居た。
ゴミ、洗濯してないもの、冷蔵庫には期限切れの傷んだものもゴロゴロ…。
まず、空気がどんよりしていて、負の気を物凄く感じたのだった。
凛子は、部屋の大掃除を、せっせとして、甥っ子と太陽は、大量の洗濯に、コインランドリーと二刀流で、テキパキとこなしたのだった。
これで部屋がスッキリしたから、またお仕事頑張れるね!って話すと…甥っ子もうん!と言って、笑顔を見せてくれた。
太陽と、ホッとしながら、家路に着いた凛子だった。
しかし…凛子達が思っている以上に、甥っ子の精神は病んで居たようで、以前よりは出勤出来るようにはなったのだが、やはり休んでしまう…甥っ子だった。
凛子と太陽は、自分達の力だけでは、力不足なのかも…と思い、甥っ子の高校時代の恩師の協力を仰いで、さらに甥っ子の無二の親友にも助けてもらいたいとお願いして、
凛子と太陽以外の数名の助っ人を、含め、甥っ子入れて8人でファミレスに集まって、『甥っ子を励ます会』を開いたのだった。
甥っ子に、『一人じゃないよ!こんなに応援者がいるよ〜。』って思って欲しかったからだ。
甥っ子はとても恥ずかしそうに…でも、とっても嬉しそうで…。
『みなさん、ありがとうございます。 がんばります。』
と言っていたのだったが…。
闇が深いのか?また休んでしまっているようだった。
どうやら、凛子の妹の所にも会社から連絡が入ったのか…
血相を変えて電話をしてきた。
妹:
『お姉ちゃん、どういうこと?』
凛子:
『本当、私と太陽も、一生懸命やって来てるんだけど…思ったよりも甥っ子の心の闇が深すぎて…。
今回の事態にまたなってしまったのよ…。』
妹:
『私と同居人とふたりで行って、所長さんに謝ってくるわ。』
凛子:
『じゃあ今回は、頼むわ。
そして、その日は、仕事をさせるようにさせて帰ってね。』
妹:
『分かったわ。任せて。』
太陽と凛子は、さっきまで、また甥っ子の部屋の大掃除に奮闘してたので…疲れていたので、助かったわ…と思ったのだった。
だがしかし…
この後にとんでもない事態を妹と同居人がしでかすこととなったのだった。
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