第12話 宇宙の魂の成長

宇宙は先日、凛ちゃんに「愛情カツ」を入れたのだったが、宇宙自身…ひとみちゃんの事で、最近…また煮えきれない自分になっていたのだった。



母の介護をするようになってから、特に急に、ひとみちゃんとの事を想いにふけたり、感情がこみ上げる事が増えて来ているように思う。



それは、母の家に行くときに、ひとみちゃんの家の前を通らないと行けないので、思い出すことが増えてしまったのだ。



今更、想い悩んでも仕方が無いのに…。

なぜか…思考が止まらないぐらいに…。



当時、ゆうじと今の奥さんと宇宙とひとみちゃんはグループ交際で、一緒に出掛けたりしていたのだった。



ー宇宙は、どこか結婚がゴールだと思っているところがあった。



ゆうじと今の奥さんは、親からの大反対で、奥さんも…かなり悩んでて、当初…宇宙に何度も相談しに来ていたのだった。



一体…。

ゆうじ達カップルと、僕たちカップルの最大の違いはなんだろう?ってゆっくり考えてみた。



ゆうじ達は、両想いだったんだと思う。


だけど、宇宙とひとみちゃんは、両片想い同士だったのかも知れないなぁって思ったのだった。



ひとみちゃんは、宇宙の事は恋人としては想いがあっても、結婚相手としてまで想えるにはまだまだ、想いや、時間が足りなかったのかもなぁ…っと。


結婚がゴールだと思い込んでいる宇宙は、ゆうじ達は勝ち組。



自分たちは、負け組だと思っている所が今だにあるのだった。



宇宙は、考え過ぎて分からなくなった時は、「聖書」の名言を思い出す事にしているのだった。



ー過去を思い煩ったとしても

今は幸せにはなれない。



聖書の思い煩いの言葉の意味に「心を分ける」がある。



心を分けるとは…相手に寄り添い、共感する。

相手の目で見、相手の耳で聴き、相手の心で感じる。



まず、ひとみちゃんの目線になって、ひとみちゃんの心を想像してみようとした。

そういう発想になったのは、ひとみちゃんに置いては始めてだった。



今の時代は、なんと便利な時代なんだろう。

YouTubeというものを通して、そこにタロット占い師さんが、色んな項目別に、3択で占ってくれている動画を配信してくれているのだ。



宇宙はひとみちゃんの事で、かれこれもう何十回も、閲覧利用させてもらっている。



今回もまた「ひとみちゃんの過去の本音」を見てみた。

すると…。



ひとみちゃんを客観視しながら、タロットカードの占いの結果と照らし合わせて見たのだった。



すると…カードは…


「値踏み」という…。

 キーワードが出てきた。



宇宙はなぜか?

そのカードの読み取りの言葉が、全て、めちゃくちゃ、心の奥にズシッと来て、ドンピシャな気がしたのだった。



宇宙はどこかでは分かっていたのだと思う。



ひとみちゃんにプロポーズした時に…「宇宙のお母さんとはやって行けない…。」と言われた瞬間に、それを感じて物凄くショックと腹が立った。



当初の宇宙は、だから、ひとみちゃんと別れる事に迷いが無かったんだと気付いた。



しかし…人年取った今の宇宙には、こう想像する事が出来たのだった。



ひとみちゃんは、実の母が姑で苦労して来ているのを見て感じながら育ったと言っていた。

だから結婚するなら、「姑」のタイプは自分に合って、穏やかで落ちついた大人の女性がいいとずっと思っていたのかも…知れない。



実際に、質問して聞いたわけではなかったが…。

ひとみちゃんなりに「結婚」はとても慎重になってしまう大きな事だったんだろうなぁ〜っと…。



更に聖書の名言に、思い煩う事から解放しなさい。



よくよく冷静に考えてみると…宇宙はプロポーズを断られた事(失敗)を結局最終的には、失敗したという覚悟を決めたからこそ、今の妻と結婚を決めたのだった。



そして、かなりの努力やら信念の数々によって、待望の我が息子を得る事が出来たのだった。



宇宙は、ひとみちゃんとの挫折をちゃんと前向きに乗り越えて、今!愛する我が子に妻、家族というものをしっかり持てている。



改めて、自分自身の底力によって、宇宙は思い煩う自分からは既に解放されている事に気付いたのだった。



今の宇宙は、目の前の母が段々、老いて来ている。

この現実に対して、元々の宇宙のルーツでもある母親をいつか?失ってしまう怖さの思い煩いさに、実は精神を奪われていたのだった。



あまりに苦し過ぎる事なので、どこか?矛先を変えて、違う思い煩いにしたかったのかも知れない。



でも、思い煩いさをし続けた所で、宇宙は幸せな気持ちになれない事を誰よりも分かっていた。



さらに聖書には、こうも書いてあった。

「どんな時も喜びなさい」




辛い事があった時に…暗い気持ちになった所で、目の前の現実は良くはならない…楽にもならない…。



宇宙にとって「聖書」の名言は、本当に役に立っているし、すぅ〜っと入って来て、なるほどなぁ〜っとうなずけるのだ。



さらにこの「聖書」の名言も、また今の宇宙にはピッタリかも知れない。



愚痴を言うなら、同じところをぐるぐる回るだけです。しかしそれを祈りにする時、問題の中に方向性が見えて来て、前進することができるのです。



宇宙が手術入院の時に…。

まさにこれだった。

宇宙はこの試練を経験する事で、「神性」という、「神」の感性を自分の中から、見いだす事が出来た。



なので、宇宙には、この「祈り」の意味が分かっている。



なので、明るい喜びの所に目を向けようと思ったのだ。

母との時間が残り少ないのなら、嘆き悲しむより、少しでも今、話せるうちに、笑い合えるうちに、思いっきり楽しまなきゃと思ったのだ。



今夜は、お母ちゃんの好きな肉じゃがを作って、ふたりでうまいなぁ〜って笑いながら食べようと宇宙は思ったのだった。



そして、宇宙自身が、まずはリラックスする事をして行こうと思った。

宇宙の好きな、あの海を見に行こう。

宇宙は自然とたわむれるのが、一番のリラックス出来る事なのだ。



母ちゃんが、いつどうなるか?を思い煩い悩むより、今の自分に出来る事を悔いなくしてあげて、後は、神にゆだねるだけだと思った。



宇宙は、母の介護を体感して、気付いたり、感謝の気持ちが沸き起こる事で、格段に「魂」が成長している事を感じていたのだった。



これもある意味、高次元の魂を持っている凛ちゃんと、高次元の会話を沢山しているからだと思った。




そう言えば…あれから凛ちゃんは、どうしているだろうか?



勇気を出して言えたかな?



あとで自転車に乗って海に行くときに、凛ちゃんに、Lineしてみよう。






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