第2話 それでも懲りないクズ
闇金とのやり取りから一時間ほどして口座に入金があった。全く知らない人物からの入金。闇金なのだから当然である。すぐに自転車に乗りコンビニへ急ぐ。引き出し手数料がかかるため一万九千円を引き出し、タバコを購入してから近くのパチンコ店に移動する。ギャンブルに嵌っている人間は手数料なんて気にしない。口座に残った数百円はロトかナンバーズを購入するのが当たり前だ。
『連休だから今日は無難にAタイプでタネ銭増やして、明日勝負だな』そんなことを考えながら狙い台に座る。
午前中打ち続け、高設定挙動もあり勝ちを確信した。
その後夕方まで打ち、差枚二〇〇〇枚オーバーで四万以上勝つことができた。高設定で閉店まで打ち続ければさらに勝てるのだが、いい加減飽きて来たのと、せっかく勝ったから美味しい物でも食べたいと思い換金して買い物へ出かける。この辺がクズである。自分でもわかっているが、欲求に正直なのだ。
一人で居酒屋に入り、孤独を気取って帰りに某とんかつチェーンで締めの一杯と定食を食べる。家に帰ってから思い出す。
「電気止められてた……」
この真夏にエアコンなしでは死んでしまう。急いで電気代を払いにはいかないが、電気代を払うと明日の種銭が減ってしまう。こんな時のための裏ワザがある。
まずは電気を確保しなければいけない。これは最重要事項だ。三メートルほどの延長コードをアパートの窓から外に出す。幸いにして僕の部屋はアパートの角部屋であり、なんと、アパートの施設用コンセントが近い。外に出て施設用コンセントから電源を拝借する。これで暑い夏も快適だ。
次にタバコの臭いが染みついた身体を綺麗にしなければならない。な、な、なんと、ガス給湯器のコンセントは外の壁にあり、しかも、各部屋に二口ずつ設置されている。窓枠に足をかけ自分の部屋のコンセントを上の階の差し込みにそっと挿す。これで快適にシャワーも浴びれる。使い終わったら、キチンと戻すのも忘れない。
因みに、水道が止まったときは外のバルブを勝手に開栓して使う。何度かやったらバルブ自体にカギをつけられるのだが、それでもなんとか回すことができる。それもバレると検針の人が訪ねてきて注意される。ガスは止まったらどうしようもなかった。
快適な夜を過ごし、次の日は勝負にでた。ここで負けるのがテンプレだが、この日も大勝ちしなんとかその月を乗り切ることができた。
やっていることは犯罪なのだが、小さいからと全く気にしない。バレなければいいやという考えしかもてなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます