『構築される精霊』より抜粋 〜水鏡の精霊〜
可愛らしい少年の姿と人間に対する友好的な態度が、祝祭の童謡とともに広く一般に知られている精霊、それが水鏡の精霊だ。
祈りと願いを司る存在として信仰を集めており、実際に願いを叶えてもらったことがあるという者も少なくない。
知名度があるいっぽうで、その成り立ちについては謎に包まれたままだ。ケンウェッタ湖水地方に伝承や聖域が多く存在することから、発生地の説として矛盾はないといえる。だが、どのようにして誕生したのか、またどれだけの願いを叶える力を持っているのか、本質的な部分についてはなにも解明されていない。
というのも、この精霊が叶えてやるのは、人外者の血を引かない純粋な人間の願いに限るからである。
また人外者のほうも水鏡の精霊に苦手意識を持っているようで、長きを知る彼らが語りたがらないという理由もあるだろう。
――大きなものにも手が届く。
件の童謡の、この歌詞。弱い生き物である人間が大きなもの、すなわち人外者に手を届かせるという解釈ができる。
それがもし真実であったならば、忌避するのもさもありなんというわけだ。
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