秘密
「杏…もっとギュッてして杏」
弱々しい声で私の名前を呼びながら抱きついているのは彼氏の隼人だ。
私しか知らない彼の姿。
私にしか見せない彼の姿。
「隼人」
私は隼人の名前を呼びギュッと抱きしめる。
「今日シュートミスった」
「うん」
「1年にキレちゃった」
「うん」
「勝ったけど気分良くない」
「うん」
今日は練習試合だった。
試合には勝ったけど内容に不満があったみたい。
そんな時、隼人は必ずこうなる。
誰もいなくなった体育館の用具室。
私たちはマットに凭れ抱き合っている。
部活では強く厳しい隼人が私にだけ甘える瞬間。
隼人はバスケ部のキャプテン、私はマネージャー。
私たちが付き合っている事は誰も知らない。
「隼人知ってる?20秒ハグするとオキシトシンっていう幸せホルモンが分泌されてストレスが減るんだって」
私は隼人の背中を優しく摩る。
「うん。今すげー出てる、その…ナントカシン」
隼人は更に私を強く抱きしめた。
「ありがとう杏。大好き」
オキシトシンが分泌されているのは隼人だけじゃないよ。
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