第13話 バンド演奏 ルームシェア

 バンドメンバーと解散後、私はその足で新居に向かった。


 そろそろ本格的にルームシェア生活が始まる。


 と言っても、家具の類はまだ完全には揃っていない。なので今日はホームセンターに出かけるのだ。

 私は付き添いみたいなものだけどね。


 Tが来るまで、部屋で涼んでいよう。


 家から持ってきたラノベ『電波女と青春男』を適当に読んで、青春、青春なぁ……と息を吐く。

 女がいないと青春じゃないとか、私の青春範囲狭いよな。


 いや、というよりも通常の青春と、女性関連の青春は種類が違うのであって、それを無理矢理に一つの値に合計しようとするから変になるのだ。

 つまり1+あ=、みたいな。


 それも若干違うか。

 事実として、青春の必要条件が恋愛体験であり、その他諸々の体験は十分条件である。

 十分条件が積み重なったところで、必要条件を越すことはない。それが青春であるためには、必ず恋愛体験が必要になる。

 つまり0、1で表されるものであり、だから青春ポイントはおかしいのか。


 しかしそもそも前者が世俗・物質的なものであるのに対し、後者は精神的・内受容的なものであり、後者の方が実際的な幸福につながってくるならば、決して劣るものでないんだ。

 相補的なものだ。顕教と密教みたいな。


 とかぐるぐると考える。私以外の人間にもどうか考えてもらいたい。青春とは何なのか。恋愛体験とは何なのか。


 これはこの世界の思春期的な問題を解決する上で大事なことであると思う。人によっては心底くだらないことだとしても、他者理解の促進は共同体感覚を生み、世界平和へとつながるからね!



 Tと電車に乗ってホームセンターに行って、帰ってくると日が沈む時間になった。


 コンビニで色々買って、ワインを飲んだ。私はお酒だとワインが一番好きかもしれない。


 Tはすぐに酔っ払った。しかもそれは悪酔いとしか言いようがないほどの悪酔いである。


 今日のところは家に帰るつもりだったが成り行きで泊まることになった。


 しかし布団も枕もない状態であるので発泡スチロールを枕にして床に寝転がる。


 ちゃんと寝れなかったけど、これはこれで良い思い出になったと思う。朝起きると身体が非常に痛かった。



 本番前日の音合わせを終え、ついにライブを迎えた。


 すごく緊張はしたが3曲とも演奏しきることができた。


 終わってたまたま一人でいたヴォーカルの一年生に「お疲れさま」と声をかけた。


 ぎこちないながらも雑談してインスタを交換した。


「打ち上げの日程どうしようか」


「いつなら空いてるか2人にも聞いときますね」


 バンドメンバー4人で打ち上げしましょう、という提案が29日に出されて、そこから日程どうしようか、という話になってその日は曖昧に終わっていた。


 日程合わせの結果、9月18日に打ち上げることに決まった。みんな予定がぎっしりと詰まっているみたいで、すごいと思った。



 自分の出番が終わってからは聴き手に回る。


 肩の荷が軽い。


 バンドの演奏と演奏の合間に15分の休憩があるから、その間いかに人の輪に入れるか、対人能力が試される。


 私はその渦中でどうしても自然ではなかった。


 演奏のときは普通のライブみたいに拳を振り上げて盛り上がる。

 意識的に拳を上げるのは変な感じだ。私は身体が勝手に動くような、身を任せるような、そういうのが苦手。一人で静かな場所でじっくり音楽に浸っていたい。


 解散は20時で、その頃には疲れ切っていた。でも多分楽しかったのかな。


 ちなみに、私は2022年春からギターを始めているのであって、後のアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』によるバンドブーム、ギターブームを先取りしていたことは流石といったところであろう。


 さて。新居に帰る。今日からここでの暮らしが始まる。



 ルームシェアは色々なことがあって、このエッセイ日記において全てを書き記すことは難しいだろう。


 それにプライバシーもあるし、私が勝手に書き過ぎることはよくないだろう。


 しかし、Tとのルームシェアは私の大学生活4年間の中では大きなイベントであり、それなりに記す必要がある。


 また、他者からすればつまらない、本来なら脚色すべきところもわりと私は正確に書いている。この『青春獲得ユニバーシティ日記』は、私の中で史実的な位置付けだから。


 でも基本的に、私と他者の具体的な会話というのはそんなに書いていないと思うけど、書いてないだけで、会話が全く発生していないわけではない。

 ただ、私の行動、思想メインで進行していくこととしている。


 なんだか筆が止まるなあ。なんだよ青春獲得って。

 書いている全てがくだらなく思えた。でも最後まで書き切ろうと思う。結果に執着しない。

 誰かしら、何かしらに影響を及ばせると信じて。そもそも弱者男性小説が面白かったら破綻している。

 それは小説の才能がある強者だから。(最終的な強弱判定は恋人の有無による。)

 

 そんなわけで、アニメで言うところの1クール終わりです。13話まで見てくれた方は本当にありがとう。そんな方がいたらほんとうに嬉しいです。


ーーー


ライブ演奏頑張った! +20p

ルームシェア生活開始 +45p


青春ポイント−803p


ギガゴゴゴゴゴ(消滅の音)。

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