第7話 大学2年性編スタート

 髪を染めた。

 初髪染めのカラーはミルクティベージュである。


 本来、ほとんどの女性は下手に髪を染めているよりも黒髪を好む。

 男性は髪色よりも髪型やファッションでさりげなくおしゃれを主張した方が良い(という情報をどこかで見た)。


 しかし熟考に熟考を重ねたすえにミルクティベージュなら柔らかい洗練した雰囲気を醸し出せて、より良い青春をコウノトリよろしく運んでくるのではないかと、ドクドク(ドキドキワクワク)気分で美容院に参じた。


 大学2年生が始まる。


 暗黒の中高生時代と比べれば大学生活はとても楽しく、及第点程度はエンジョイできている昨今ではあるが、青春ポイントは未だマイナスである。


 何かドカンと一発花火を打ち上げねば。そりゃ彼女ができれば、青春ポイントは+1000(MAX)になるのだが。


 よりよりスタートを切るために色々と春服を買った。


 今年春からは毎週対面で、本来の大学生的なルーティーンを課されることとなる。


 サークルも対面活動ができるようになるのだ。



4月12日。2月下旬から始めたTとの聖書通読、ようやくモーセ五書を読み終わった。


 春学期が始まると、朝から大学の授業を受けて、電車で地元に帰ってきて、おにぎりを軽く食べてバイトに入るという日もあって、かなり忙しかった。


 私はCさんとの距離感をうまく詰められずにいた。

 大学の授業でも、髪を染めたわりには何も変哲がない(ぼっち)。


 彼女に〇〇って言われて理不尽にキレられた、とかの自虐風自慢ツイートがハイライト(?)、モーメント(?)だかで通知として送られてくるのマジでやめてくれよ‼︎

ムカつくな、彼女いたことある時点で人生勝ち組のくせに、彼女いたことある人間は弱音吐くなろこすぞ。


 ……改めて分かったことは、私のコミュ力が低いのは、自信がないとか、緊張しいだからとかではなく、ほんとうに言語化能力が不足しているようだった。

 私に必要なのは地道な言語化の練習だった。


 髪を染めて、お洒落をして、見た目だけなら上位カーストでも、話しかけられたら相変わらず挙動不審になるし、女性と対話を図ろうとしても全然盛り上がらないし、だんだんとナーバスになってきた。


 一年の頃の筋トレパターンというか、毎日髪や肌のケアとかを頑張っているのが馬鹿らしくなって狂いそうになる。

 オシャレが楽しくてやってるのではなく彼女作るためでしかないから。しかもその効果は大したことなくて。でもそれすらやめたら、「彼女できねえのは、お前が努力してねえからだろ」って言うだろう。

努力してもしなくてもできないんだよ。


 結局、女性は男を性格で見る傾向が強くて、性格なんて一朝一夕で変えられないから残酷だ。

 見た目変えて自信つけたらいけました、みたいなのは、実はもともとコミュ力はあったのだ。そこを分かってない人は多い。

 結局顔だろ、ではなく、結局コミュ力だろ、もしくは、結局「環境と遺伝子」だろ、が正しい。 


 神保町で蟹味噌ラーメンを啜って家に帰った。



 ギターを買ったことだし、軽音サークルに入ることにした。

 たくさんある軽音サークルの中でも人口の多く活気のある軽音サークルに入部することにした。


 人数は100人を超えるサークルだ。人数が多ければ多いほど出会いの数も上がるという安直思考。


4月23日、軽音サークルのライブ兼交流会があった。


 そこでサークルに溶け込もうと奮闘した。

 ものすごく浮いている感じはなかった。


 仲良く話せた人もいて、ひとまず及第点である。何人かとLINE、インスタを交換した。


 よし、私はここで青春ポイントたくさん稼ぐぞ!

 より一層ギターの練習を頑張ろう。



 バイトの店長に5月末までで辞める旨を伝えた。


 私は、店長が私の動作の遅延について日々強めに叱責してくるようになったことを恐れた。

 バイトを辞めることを伝えるのは本当に緊張する。


「いい加減覚えてよ」「自分のところだけじゃなくてさ周り見て」などと周りの女性バイターから言われることも日々多くなって、申し訳ない気持ちになった。


 また、大学が始まって、純粋に生活が忙しなくなりすぎて、睡眠時間も減っていたりしたため辞めることにした。


 ゴールデンウィークを挟む4、5、6、7日と、バイト四連勤でとても疲労が蓄積して一週間ほど風邪をひいたり。


 私は身体が強い方ではないからあまり無茶ができないというか、下手に睡眠時間を削ろうとすると決まって風邪をひいた。


 たまにすごくやる気に溢れる時期があって、私には寝てる暇など1秒もないのだ! と睡眠時間5時間とかでガッツリ活動する日々を続けているとすぐに反動がくるよね。


 辞めるまでにCさん対してなんらかのアクションを起こそうと思った。


 でも、そのきっかけがなかった。結局、こちらのバイトを辞めるという事情なんてCさんには全く関係ないわけで。

 辞めるのになんで接近するのって感じだし。私の思い出つくりのためだけに利用するのは少し申し訳なくなってしまった。(結局これも逃げなのかもしないけど。)


 そもそも、誰でもいいから彼女ほしいという私の考えは、女性のことをトロフィーみたいにしか捉えていない。最低だ。

 でもそれじゃあ、人を好きになる能力がない人間は一度たりとも恋愛を経験する資格がないと言うのか?

 ……そうなんだろうなあ。


 まあでも、バイト先で恋愛をするというのは私には荷が重いと分かっただけ収穫だった。

 また、飲食で働くには私は無能だし、次からは考えないといけないな。もっと淡々とした、作業系のバイトにしよう。


 Cさんと話せたことはとても楽しかった大切な思い出だ。Cさんにとっては、そんなことないと思うけどね。


ーーー


髪染めた +2p

大学2年生春学期への期待感、対面授業 +2p

彼女できない −100p

ラーメンもぐもぐ +2p

軽音サークルに入る +3p

Cさんとの思い出に浸る +5p


青春ポイント−870p

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