第5話 あけましておめでとう 飲食バイト
新年、2022年が始まった。
私は自分の幼き頃の創作物を見てノスタルジーに浸りながら年を越すという、なんとも未練たらしいような、過去を引きずるような有様であった。
Tから年賀状が届いた。
年賀状にはCarpe diem(今日1日の花を摘む)という文字が据えられていて、すごく良い言葉だと思った。
私の方からも年賀状を送っていて、無事届き、尚且つ(絵が)良く描けていると言われたのでよかった。
タロット占いで、今年の私の恋愛について占った。最近私はタロットリーディングにハマっていた。
過去は隠者の正位置、現在は世界の逆位置、未来は死神の正位置だった。
私は今まではあまりにも精神的になりすぎていたかもしれない。現在の心の未完成さ、不調和を解消し、完全へと至りたい。
そうすれば未来は死、つまり新たな生まれ変わりを遂げるだろう。
私はなんとしても絶望の未来を回避し、今年こそ彼女を作って青春っぽいことを味わうのだろう。そうに違いない。
*
冬休みが終わり、学期末はテストやレポートが多くて少し大変だった。
しかしなんとかこなし、無事に18単位を手にした。(春学期と合わせると40単位。)
春休みに入ってしばらく立った2月3日は、僕の古くからのYouTube視聴者であり同じ大学で縁のあった友人と高尾山に行った。
私は運動不足によりだいぶキツかった。
お腹ぺこぺこの状態で食べる団子は美味しかった。一緒にパンも食べたり、色々話せてよかった。
私は、何かしら行動しなければという焦燥感ゆえに再びバイトに挑戦することにした。
初めはボランティアでもやってみようと思い良さそうなものを選んで応募したのだが、応募したところから全然返事が来なくて、やはりバイトにしようと考えが変わった。
私は同年代の女性を求めて飲食店で働くことを考えた。
飲食店というチョイスは、Sくんの影響もあった。
焼肉屋と、イタリアンレストランの面接を受けて、イタリアンレストランでは人が足りてなかったのか即決だったので、そこで働くことに決まった。
2月12日。
*
案の定、女性の学生バイターが多く、安堵した。
しかし、女性を意識しすぎることによって心労は大きかった。
バイトは出勤2回目ぐらいからかなりハードで、ピザ作りに関して、店長から注意を受けつつも必死に肉体労働した。
ピザ生地をプッシャーでちょうどいい大きさに広げることが難易度が高かった。
広げすぎると破けてしまうし、広げなすぎるとそれは規定の大きさに達していないということでゴミ箱行きとなった。
そしてピザの、マルゲリータ、ベーコンピザ、ポテマヨ、ジェノベーゼなどの具材の乗せ方を覚えるのにも苦心した。
もう既に辞めたかったが、逃げるわけにはいかなかった。
2月18日。
6時間勤務をしてくたくた。
しかし労働をやり切った、成し遂げたという大きな充足感があり、健やかな自分にサティスファクションをおぼえる。
週3〜4回、店長に言われた日に私は出勤した。
おはようございます、という挨拶をしっかりとすることができた。
私はすぐにピザと並行してポテトや唐揚げなどのエリアも見て料理を作らなければならなくなった。
忙しくて頭が回らなくて、でもしばらくすれば慣れると言われた。
女の子との事務的な会話が発生すると、私はすぐに恋愛フラグのように思った。
精一杯、ハキハキ喋ることや会話を続けることを意識した。
まぁすぐにはねんごろな関係になるのは無理だろう。私は焦らない。
*
私は挨拶だけはしっかりとした。
そうすることで少しでも好印象を積み重ねるのだ。
しかし問題は仕事の終わる時間が被らないということだった。
私は専らラストの時間帯まで勤務することが多かった。
オーダーストップが入ったあとの、皿洗いや床掃除や器具の掃除、食べ物にラップかける、ゴミ出しなどの作業をする。
しかしそうではない日もあった。
だけど、同年代の女の子と一緒に仕事上がって、タイムカード切ったあとにちょっと駄弁る、みたいなイベントはなぜか発生していない現状だった。
運がない。どうしてだ。そういうタイミングの合致くらいはあれよ! 私は神を呪った。
しかしいつかチャンスは来そうな雰囲気であった。いかんせん女性比率多いゆえ。
飲食店のキッチンという仕事は、慣れてくるとコンビニバイトよりは楽であった。
私は人の目がある場合にどうしても動きが鈍くってしまうせいでコンビニバイトは散々だった。
料理を渡す役の方は私にはこなせそうにない。
調理場に引っ込んでいられるからキッチンで良かった。
失敗は多くて店長から叱責されることがあっても私はめげなかった。
のちのCさんとの邂逅は預言者によって既に預言されていたが如くやってくる。
雪解けは目前だと思う。春の風。梅の花が咲き始める。
ーーー
お正月明けましておめーとー! +1p
春休み +2p
バイト始めたけど恋に発展しない、恋人いない劣等感感じるぜ −6p
青春ポイント−862p
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます