第4話 サポートガイドツール、リリー


何故か、おかみさんが、ハイテンションに、


「私の名はマリー、二十二歳未亡人の元冒険者さ、

死んだ亭主と組んでいたんだよ。六人パーティーだったんだけどね、

仲間の一人が死んじまってね、パーティーを解散したんだ。

その時リーダーだった亭主に求婚されてネ、一緒になったって訳さ。


冒険者時代に貯めた金を二人で出し合って、宿屋を始めたんだけどね、

幸せなんて長くは続かないねぇ~隣国との小競り合いがあってね、

元、銀の冒険者だった亭主は兵隊として、

王国軍に引っ張られて行ったよ、去年の話さ、


ちなみに私は鉄の冒険者だったんだよ」


 「それは大変でしたね、

私の名はヤマダタカシ、40歳・・・・ん?」


何かマリーさん、目をむいて驚いているんですけど~


何か変な事言ったかな~?


マリーさんは走って


廊下の奥の部屋へ駆け込むと又部屋を出て、

こちらへ駆け戻って来ると、

手に何か銅製の手鏡をこちらへ向けた。


「いっ!」


鏡の中には、14・5歳頃の俺が映し出されていた。


「わ、わっか~・・・・っと40歳の父が、

世の中を見て来いと言って、旅に出してくれたのですよ~

えっと~俺は15歳?です。」


口から出まかせを言ってしまった。


「そうなのかい?びっくりしたよ~てっきり、

エルフ様か何かと思ったよ~」


あ、納得しちゃったよ~、

此の人は、ま、あれだ、天然だね。


その後俺は色々と此の世界の事を教えてもらった。


この国の名前はアレス王国、何でも隣国のハレス王国に

ちょっかいを掛けては負けてるらしい。


ハレス王国には、鉱山があり、金が採掘されるそうだ。

少しミスリルも採掘される事もあって、


欲の深いアレス国王は、兵の数だけは揃えては挑み、

毎回の様に蹴散らされているそうだ。何でも、

バカ貴族が指揮を執る為だとかで、揃った兵は烏合の衆なのだそうだ。


それに対してハレス王国には、

精強な王国騎士団があり、まるで相手にならないとか、

こりゃ兵隊に取られて亡くなったダンナが浮かばれないわ~、

うん、こんな国早く出るに限るな、此のままだと、

戦争に巻き込まれそうだわ、


「話は変わるのですが、俺は通行証を無くしてしまっているんですが、

街を出る良い方法はありませんか?」


「あちゃ~あんた、あれは大事なものだよ、

見つかったら戦場送りさね、

まあ街を出る方法はいくつかあるけど、まあ、そうだね、

冒険者ギルドに登録して、冒険者カードを発行して貰うのが、

一番手っ取り早いかね~あんたお金は持っているかい?


登録するのに、銀貨一枚が必要だよ」


「あ、大丈夫です」


マリーさんは少し考え込んで、


「よし、決めた。あんた、私を一緒に連れて行っておくれ」


「それは構わないのですが、宿は良いんですか?」


「まあ、色々と思い出のある宿屋だけど・・・・


ここらが潮時だろうね、戦が始まっちまえば、

此処も兵隊やら、傭兵やらの宿舎に取られるだろうしね、


そんな事になったら、

兵隊に手籠めにされるのは、目に見えているしね、

宿屋を売るにも、時間が掛かるだろうしさ、

何より後何日かで私も餓死するだろうしね、宿はあきらめるわ」



うん、此の世界を案内してくれるガイドがいる事は、俺も有難いしね。


「まあ、マリーさんがそう言うのであれば、

此れからよろしくお願いします」


「ああ、こちらこそ宜しくお願い居たします」


俺はマリーさんと握手をした。


その後、部屋のカギを受け取ろうとしたら、

うつむいて、上目遣いのマリーさんが、


「あ、あの、夕食も、食べさせてくれますか?」


こ、子供かい!


「はい、勿論、俺は少し休みますので、頃合いになったら、

呼んで貰えますか? それと手荷物を揃えておく様にしておいて下さい、」


「はい、タカシ様」


何故かメイド口調のマリーさん、

何か引っ掛かったが、さすがに疲れていたので、

部屋の鍵を受け取り2階へ、部屋に入ると、


棺桶の様な箱に藁を詰め込んで、

シーツを掛けただけのベットに倒れ込んだ。藁の香りが心地良い。


「う~ねむ~」


まだまだ日は高い様だ、


薄暗い部屋の鎧戸から、昼の光が差し込んでいる。


メニュー画面の時刻を見ると、昼を少し過ぎた位だ。


「うう、時間あっているのだろうか?心配~

あっ、ステイタス画面に15歳って出てるわ~」


もう色々ありすぎて、疲れたよ、

目をつむると、すぐに意識が無くなった。


・・・・どれ位経ったのだろうか?


頭の中で鳴ったチャイムの音で目が覚めた。


『ピンポンパ~ン、地上世界及びマスターのステイタス情報の

インストールが完了したっス。


此れよりメニュウ機能、サポート、ガイドツール起動するっス』


「はい~?えっ何、此れ?」


『はい、私はマスターが、より早く、より正確に、

メニュウを使いこなす為の、メニュウ機能、

サポート、ガイドツールであるっス


メニュウ画面に、アイコンが新たに表示されましたので、

クリックして、常にONの状態にしておいて欲しいっス』


頭の中に直接言葉が入って来る、下っ端口調なのだが、・・・・


「えっ、はい、こう?」


『はい、此れでマスターが頭の中で思った、

疑問等を念話にて回答し、マスターの行動をサポートするっスよ~』


「って、どの程度サポートしてくれるの?」


このさい下っ端口調はスルーしよう、


『ハイ、この地上世界の事象、及びマスターの状態、

能力、行動予測から危険察知、危険回避、とその方法、等、全てです』


な、何で、そんな、全部分かっちゃうの?


『マスターの持つステイタス画面は、神器であるっス、

地上世界の誰も持ち合わせて無いっス、その中の情報は莫大っス、


地上世界及び、マスターに関する情報限定で、

神界の情報バンク、ユグドラシルより、

情報をダウンロードしたっスよ、

立ち上げるのに今まで掛かったっス、


これ以後の新情報、もしくはバージョンアップは、

個別にインストールして行くことになるっス』


「パソコンじゃん!で、なぜ、下っ端口調なの?」


『はい、神様がお前は、ヤマダタカシ君の分身の様なものなのだから、

まあ、ある意味子分みたいなものだから、

此のしゃべり方で、行こうと言っていたっス』


「・・・・それで、メニュウ機能、サポート、ガイドツールって、名前?」


『はい、そうっス』


「なげ~よ!変えても良い?」


『はい、良いっスよ、でも付けるんなら、可愛い名前にして欲しいっス。

一応私、女の子として、設定されているっスから』


「ん~じゃあ、どら・・・・」


『却下っス!』


「え~っと~確か幼馴染に、

やたらお喋りな女の子がいたよな~名前は確か、あっ、


リリーでどう?」


『ん~なんか失礼な事考えて無いっスか~?』



「ん、ない」


『ま~じゃあそれで、此れからよろしくお願いするっスよ~』


「じゃあ早速だけど、機能説明してくれるかい?」


『じゃあ大まかな説明をザックリと行くっスよ


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