第2話 王都

輝く光に包まれ、意識が飛ぶ、


・・・・・・


フッと我に返ると、


今まで見たことのない、風景が広がっていた。


いや、しいて言うとヨーロッパの古い街並みの様な感じか、まあどちらにしても、

ネットでしか見たことは無いのだが。


石畳に日干し煉瓦の家々遠くに見えるゴシック調の城が美しい。


俺は円形に建ち並ぶ家々の中心にある、

広場の真ん中の噴水?水は、噴き出してはいないな、


ちょろちょろと、真ん中の小さな像から水は出ているのだが、

泉といった方が良いかもしれない、そのふちに腰かけている。


暫く見慣れない街をぼんやりと眺めていたが、

あることに気ずいた。行き来する人が殆どいないのだ。

時折通る人もやせ細っていて暗い、と言うか生気がないと言うか、

全てを諦めた、死んだ魚の様な目をしていた。


前の俺の目と同じだ。ふと我に返り、


「あかん~これはあかんやつや~

おっと、先ずは自分の持ち物チェツクしなきゃ」


独り言をつぶやくと、

頭の中でメニュウ画面をイメージした。


「あっ、本当にメニュウ画面が現れた」


一言で言うと、VRのゴーグルを掛けて、ゲームをしている感覚である。

心の中で思うとポインターが現れたので、

持ち物のロゴマークをクリックしてみた。

すると画面が切り替わり、ストレージ画面になった。


画面には、きんちゃく袋と、剣と、盾と、小瓶と、

骨付き肉と、ゴミ箱のロゴマークが現れた。


「パソコンかよ!」


思わず自分に突っ込んでしまったわ!


きんちゃく袋をクリック。え~なになに、お金の一覧が表示された。

【共通貨幣、】えっと、王金貨X10、白金貨x10、大金貨x10、金貨x100、

大銀貨x100、銀貨x100、大銅貨x100、銅貨x100、銭貨x100。


「大金?大金なのか~?うんわからん!」


恐らくしばらくは、生きて行けるだけの、

金額を神様が付けてくれたのだろう。


「こちらの世界には干渉出来ないって、神様言ってたもんな~、

神様ありがとうございます。


お金の、価値や物価とか、色々と調べないとダメだな~」


今度は剣をクリック。え~っと聖剣x1、魔剣x1。


「凄いの?うん、いらない~」


その内誰か俺を守ってくれる人が現れたら、あ~げようっと~

グロイのは受付ません、チビっちゃいそうだし~


悪人を切ったり~とか~魔物やモンスターを、

退治したり~とか~そんな根性、


かけらも持ち合わせておりませんので、


出合っただけで間違いなくチビリますよ~、


つづいて盾をクリック。


神具の盾x1、神具の胸当てx1、神具の手甲x1、神具の具足x1、


 「なんか、防御力高そ~」


神様意地でも死なせないつもりみたいだな、


次は小瓶をクリック。


ローポーションx100、ポーションx100、


ハイポーションx100、エリクサーx100、


「エ、エリクサーって、死んでも生き返るっつうやつですよね~

100って・・・・


神様、死んでも死ぬなって事ですか~!」


次に骨付き肉をクリック。


宮崎牛x5、神戸牛、x5、飛騨牛x5、黒毛和牛x100、


「高そう~今夜は神戸牛だなっつ」


最後に、ゴミ箱っと。


「やはり、ゴミは自分で処理しなさいってことですよね~」


画面をステイタス画面へと。


「うん、ゲームだ」


ヤマダタカシ、レベル1


「ですよね~」


HP100000、


MP1000000、


「何、これ?高いのは分かるのだが、

どれ程の物なのか良く分からん、まっ良っか」


攻撃力レベル1、攻撃魔法レベル1、


守備力レベル10、守備魔法レベル10、


「何、この差?レベル10って、カンストしてるよね~ね~~

取りあえずはこんなとこか~


後は宿屋を探して、部屋を取ってからだね。

今後の方針も決めなきゃだね」


俺は、立ち上がると、

取りあえず、城が見える方角へと、歩き出した。


「あっ、マップ出た、これは便利だ」


城門前広場を目指す事にした。


「なんか、臭いな~」


道の両側には何か、うんち落ちてるし、

尿と混ざった様な、匂いがするし~それに城の方角から、

えもしない、肉の腐った様な酷い匂いが、

風に乗って流れてくるし~


えずきそうだ。


「なんなんだこの匂いは、ありえね~」


その訳はすぐに分かった。


城門までの道が直線になった時、城門前広場の奥。

城壁の手前、20人~30人位の人が吊るされている。


「あ、あかん、これは夢に見るやつや」


俺はすぐ回れ右すると、速足で元来た道を戻って行った。


ちょっとチビッたかも知れない、


すいません、だいぶチビリました~

グロかった~人生初だわ~少し涙目かも知れない、


重ね重ねすいません、めっちゃ泣いてました~


それから速足ではなく、めっちゃ走ってます~


こけたら大惨事間違いなしです~うんちまみれ、間違いなしです~


少し落ち着いた所で又歩き出し、涙と鼻水を腕で拭い、


「・・・・はい、明日、この街を出ましょう。


取りあえず宿屋を見つけて情報収集しよう」

とマップに宿屋をけんさくして、

一番近くの宿屋に向かうことにした。


宿屋に向かう途中、

2~3人の喋りながら歩いている人たちと、すれ違う、


「あ、あかん、何を話しているのか、まるで分らん」


マップの背景がグレイになっていたので、

クリックしてみると、おっ、背景が水色に変わった。


暫く歩いていると、又しゃべりながら、

3~4人の人達が歩きながら、すれ違って行った。


おお~、今度は分かった。


なんか、戦争が始まりそうだ。的な話をしていた。


小一時間程歩いて、ようやく宿屋の前に辿り着いた。


途中、市壁と思われる近くを通った時、


街の外に出る人の列が出来ており、

何か札の様なものを門番に見せて、手荷物の検査を行っていた。


何人かは手かせを嵌められて、柱に縛られていた。


街を出るにはさっき見た札の様なものが、要るのだろう。

やはり情報を集めて作戦を練って、行動しないとダメな様である。


「宿屋の主人から上手く情報を得なくては」


まあ最初だから、

行き当たりばったりなのだが、


俺は閉まっていた扉を開けて、中へ入って行った。

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