最弱!へたれ冒険者異世界の旅
@tennpei
第1話 転生
深い暗闇の中で、防波堤のテトラポットに当たる波音を聞きながら、焦点の合わない眼差しで、
対岸のにじむ夜景をぼんやりと眺めている。漆黒の水の中で、
テトラポットに付いた、夜光虫のうすぼんやりとした青い光が美しい。
俺の名はヤマダタカシ。40過ぎのくたびれ果てたおっさんだ。
35歳の時に無理して結婚したのがいけなかった。
嫁のほうはまだ普通の女性だったのだが、その両親の方は異常だった
結納が済むと
急に自分たちの家へ入る様に。と、ごね出したのだ。
すでに、対外的に結婚する事を知らしていたし、
上司に仲人をお願いもしており、引けない状況でもあった
父も俺が4男で、家を継ぐ事も無いのでOKしたのだが、
おかしいなとおもいながらも、
結婚の事で頭が一杯であった俺も了解し、結婚したのだが。
新婚旅行から帰って来てから、嫁やその両親の態度が一変した。
嫁とその両親が、毎日のように俺をいびり出した。
・・・・5年我慢した
ある日、俺の心の糸が切れる音が聞こえた。
その日の内に、会社に辞表を提出し、俺はそのまま社会から消えた。
まあ、そのまま自分の車で浮浪者生活を始めたのだ。
自分の貯金を切り崩しながら半年、毎日ぼんやり海を眺めている。
このままではいけない事は分かっているのだけれど、
何をする気力もわいてこない
今日もテトラポットに座り、
焦点の合わない瞳でボーっと真っ暗な海を眺めていた。
・・・・夜光虫が綺麗だ。
どの位経ったのだろうか。
眠気に負け、そろそろ車に戻ろうとした時。
いきなり目の前が真っ白に輝きだした。
あまりのまぶしさに、目を閉じると
すぐに真っ暗になり、そのまま意識を手放していた。
・・・・・・
「・・ああ魂だけは消滅せずにすんだわい。大分修復が必要じゃな・・・・」
・・・・・
どれ位経ったのだろうか。1分?1時間?1日?1年?
意識を取り戻した俺は、ゆっくりと瞼をひらいた。
俺に声を掛ける人物がいた。
「ヤマダタカシ君、意識は戻ったかね」
俺は、現状を把握出来ずに目をパチクリさせていた。
上も下も無い真っ白な空間に、4畳半の畳が浮かんでいる~?
丸いちゃぶ台で、
お茶をコポコポと入れている、60位の変なおじさんがいる。
どう見ても浮浪者だよね~っと、浮浪者の自分が言うのもなんだけど。
「こ、ここは?貴方は?」
「ああ、自己紹介がまだだったね、わしは、この世界を管理しておる神じゃよ」
「へっ?この世界?神様?」
「ああそうじゃ、すまんかったの~酒のつまみを買いに、下界へ降りようとしたら、
その場所に君がいての、時空震に、巻き込んでしもうたのじゃ」
「はあ?」
「君の体は分解して、塵になってしもうての。
魂も砕けかけたのじゃが、何とか回収して再生したのじゃよ」
「分解?魂?再生?」
「ここは神界じゃよ。
ヤマダ君のいた世界の、遥か上位の世界じゃよ。
上位の神が下位の世界に降臨する時、その場所。まあ
ほんの数メートルじゃが、時空震が発生するのじゃ。
あらゆる物質は分解霧散してしまうのじゃよ。
じゃから、何もない所を選んで降臨するのじゃが、君がいるのに気付かなくての。
巻き込んでしもうた。済まんかったの~」
「俺は・・・死んだのですね?」
「まあ簡単に言えば、そう言う事かの~」
で、この後俺は、どうすれば良いのですか?」
「ン~本来であれば、魂を真っ白にした状態で、輪廻の輪に、入ってもらうのじゃが、
わしがヤマダ君を死なせてしまったし、
生き返らせようと思うのじゃが、この世界では無いのじゃ。
次に行く世界は、輪廻の輪によってすでに決まっておるのでな、
その世界での復活となるのじゃけどの~」
「どんな世界ですか?」
「ん。まあ、
この世界で言う所の、中世~中世以前のヨーロッパ。と言ったところじゃの~。
魔物や、魔法のある世界なんじゃが、
神の加護を与えるので、勇者にでもなって活躍するとええ」
「ン~ムリ!ですので、輪廻の輪に入れて貰えないでしょうか?」
「ㇸッ?今の記憶を持って、新しく人生をやり直せるじゃぞ」
「すいません、神様。中世~中世以前の時代の世界で、
生きて行けるとはとても思えません。それに俺、グロ耐性無いし、
生き物を殺すのも、殺されるのも真っ平です。
なにより、現代人の食生活にあった俺が、中世以前の食生活に、馴染む事は無いでしょう。
で、あるならば、最初から何も知らない状態で、生まれ変わる方が良いと思います」
「ン~。そうかのう、確かに、日本の食べ物は、美味いし、
わしも、日本酒が好きだしの~わかる気がするのう。
じゃあこうしよう。
まず、メニュウ欄を操作出来る様にするか、
そしてステイタスは、攻撃は無しで、料理を付けようかの。
それからストレージを付けて、マップは必要じゃろう。ほいでギフトじゃの。
大サービスじゃ。下界のインターネットに繋げてっと、
ママゾンで買い物が出来る様にしてやろうかの~。調理ができて、食堂も付けてっと。
何でも調理が出来る様に、レシピも付けようかの~
後何か、欲しい物はあるかね?」
「幾つ位まで、良いのですか?」
「そうじゃの~後2つ位かの~」
「では風呂と、オーブンレンジを付けてもらえたら嬉しいです」
「良かろう風呂と、オーブンレンジじゃの、そうそう、
ママゾンじゃがの~神界経由となるので、
専属で、天使を一人付ける、事となるのでな、
価格はまあ、2割増しになるから、少し高いように感じるかもしれんが、
そこは我慢してくれるかの~」
「俺の為に、そこまでしていただかなくとも」
「いやいや、良い良い。
このネットを使って天使や儂も買い物が出来る様になるので、
天使も喜んで手伝ってくれるじゃろ~」
「まあ、そう言う事でしたら」
「気を使わせて悪いのう~。餞別に武具とお金も付けておくぞい」
「ありがとうございます。それでは、1から頑張ってみます」
「そうそう、今から行く世界じゃが、
儂が管理しておる世界とは別の世界なのじゃが、
そこを管理しておる女神が又、儂と折り合いが悪くてのう。
見守ってやりたいのじゃが、それも出来んのじゃ。
出来るだけ一人で生きて行ける様にしておくので、後は頑張っての~」
「はい、ありがとうございます。頑張って生きてみます」
「ん、元気での」
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