第6話 エロゲバンド女子は萌える?

 それにしてもこのギャル……。どこかで見たことある気がするんだよな。

 エロゲーマーのいやらしい列に並んでいるとき。俺ふとそう思った。


 それに彼女の体を見てみると、結構筋肉があるように見える。運動部なのだろうか。運動部のギャルがこんなところ来るのか?いや、まずギャルはこんなところ来ないだろう。


 そんなくだらないことを考えているとその例のギャルが俺の襟を引っ張ってきた。


「ねぇ。レジ、空いてるけど」

「あ、ハイ」


 俺はその示されたレジを進む。

 もちろん、ギャルはついてくる。


「ところでどこまでついてくるんですか?」

「少なくとも、ライブハウスまでですかね」


 ライブハウスか……。

 ライブハウスね……。

 ライブハウス……?


*****


 衝撃の事実が発覚した。

 あのギャル。エロゲギャルはバンドマンだったのだ。

 ソフマップにはライブハウスが開くまでの暇つぶしで来ていたよう。


 所属バンドは「デンパライト」

 どこかで聞いたことがあるね!


 そう!もうじき来るあの勘違い女との仲間なのだ。


「なんで栗松さんあの時教えてくれなかったんですか!」

「いや、知っているのかなって。てか付き合ってるんかなって思ってた。やっぱバンドマンだなって感じで」


 あの時のにやけ顔はそんな意味を含んでいたのか。

 俺のようなまず性別を勘違いされているような奴に恋人ができるわけないだろ。


「栗松さーん。新しくゲームかしてくださいよ」


 俺たちがライブハウスの隅っこで話していると例のエロゲギャルが話しかけてきた。


「おう、いいぜ。何がいい?」

「ゆずソフト(とあるメーカー)の何かがいいです」


 それにしてもこの娘。ちゃんとエロゲーマーだった。

 オタクなエロゲーマー。多分、昨日のお前らのバンドのセトリ決めたのお前だろ。俺が見たとき『unreal creation!』(とあるエロゲのオープニング)弾いてたし。


「ゆずソフトで言ったらザノバウィッチ(有名ゲーム)とか」


 僕も会話に入りたい。


「さすがにそれはやってるよ」


 一蹴された。

 流石にやってたみたいです。某V巫女(さ●らみ●っていうやつ)も誤作動させてたしなぁ……。


「てか、なんであの時、あんたは俺のエロゲ購入までついてきたんですか?正直、乳首丸出しのタペストリーを受け取るところを見られるの気まずすぎて死にそうだったんですが」

「女の見た目をしている奴がエロゲを買おうとしているという状況を最後まで眺めたかったのよ」


 彼女は当然の如くとか言いたそうな顔でそう言い切った。何だ。その欲は。全くわからんぞ。


「それにしても、あの女来ないな……」

「はて?あの女とは?」


 エロゲギャルは首を傾げて訊ねた。


 そんなとき……ライブハウス入口の扉が開いた。

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