第48話


「……」



「……あれ?」



「……」



「……山田さん?」



私はどうやらゴリラのプロポーズでイッちゃったみたいで一瞬失神していたと思われます。



「…ご、後藤…」



意識を取り戻した私はうまく喋る事がなくて、なんて言ったらいいのかわからなくて、でもただとにかく嬉しくて嬉しくて、涙がボロボロ出てきた。



「山田…」



私はゴリラに抱き付いた。



「…もう一回言って」



「え?」



「もう一回言って」



「…また前のねるとんみたいに断られるからヤダ」



「お願い」



私はゴリラにさらに強く抱きついた。



「…一回しか言わないからな」



そう言うとゴリラは立ち上がり、私も立たせるとグッと引き寄せた。



真面目で真っ直ぐで真剣なゴリラの顔。


私の身体を包み込む分厚くて安心感しかないゴリラの身体。


ゴリラは大きく息を吸った。




「僕と結婚してください」




ゴリラの言葉が全身に染み渡りブルブルっと震えた。


その後すぐに身体の奥からじわじわと熱くなってくる。




「…はい…」




全身から絞り出した言葉と一緒に涙も溢れ出した。


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