第46話


「んー…」



目が覚めた。

いつの間にか寝ちゃっていたみたい。


外が少しだけ明るくなり始めていた。



こんな顔してイビキもかかずに静かに眠るゴリラが私の身体を包み込むように優しく抱いてくれているのはいつものこと。


そんなゴリラに愛しさが込み上げてくるけれど、目覚めた途端の尿意には勝てない。



「ちょっとお花摘みに行ってくるわ…」



小さく囁いて気持ちよさそうに寝ているゴリラに軽くキスをして起こしてしまわないようにそぉ~っと抜け出した。



お花摘み中。

あれ?何回したっけ?それにしても気持ちよかった…ゴリラの○○○ってなんであんなに気持ちいいのかしら…本当に最高だったわ…

あぁん!思い出したらまたしたくなってきちゃった!



信じられないくらい広くて綺麗なトイレでお花を摘み終え手を洗う。



手を洗う……


手を洗う……?


手を洗うぅーんーッ!?



ななな、な、な、ナニコレーっ!?!?



「ひゃあぁ」



私の左手薬指に見た事のない指輪がはめられていた!



そのキラキラと永遠の輝きを放つ小さな石のついた美しい指輪をバチバチと瞬きしながら何度も何度も確認してしまう私。



こここ、こ、こ、これはッ!!



次の瞬間、

昨日のデートの事…レストランでの美味しい食事…素敵なスイートルーム…綺麗な夜景…バースデーケーキ…シャンパン…甘くて激しかったゴリラ…やっぱりすごかったゴリラのバナナ…


が、ぶわあーっと一気に思い出されて頭がクラクラした。



ビクビクしながら左手薬指のその指輪にそっと触れ、あまりの眩しさに目をヤラれながらゴリラが寝ているベッドへと戻る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る