第24話

ある日。


「来週また出張になった」


「今度はどこの動物園?」


「福岡」


「福岡!?」


「今度は3日だけだか」


「明太子買ってきて!」


「3日だけ」


「あと通りもんととんこつラーメンとにわかせんぺい!」


「みっ…」


「……」


「ご注文は以上でよろしいですか?」


「今度はどのくらい?また1ヶ月とか?」


「だから3日だって」


「……」


「今度はすぐ帰ってくるからな」


「お土産忘れないでね」


「俺より土産の心配か」


「森くん来たらどうしよ」


「誰それ」


「知りません」


「来ないだろ」


「そうよね」



そうなの。

来ないと思ってた。

来ないと思ってたんだけど。



ゴリラが福岡に行って2日目の夜の事。


出発前にゴリラに3日分抱かれたせいで謎の男・森くんの事なんて私の頭からスッコーンと抜けてしまっていたもんだから、また前みたいに掃除(ニオイを嗅ぎ)に行っていた。


一通り終わって一服していたらインターホンが鳴った。


モニターを確認するとまさかの森くんの姿が映っていた。


「あらやだ!どうしよう!」


何しに来たの?すっかり忘れてたわ!今度は何の用?って部屋にあげるワケにもいかないし…とごちゃごちゃ考えているうちに森くんはいなくなりモニターも消えた。


とりあえずゴリラに電話!報連相!


「森くんが来ました」


「誰それ」


「知りません」


「え、また来たの?」


「居留守対応いたしました」


「なんかあったらすぐ電話するように」


「御意」


「…またニオイ嗅ぎに行った?」


「違います」


「愛してるよ」


「私も愛してるわ」



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