第23話


…長かった。本当に長かった。


ゴリラに会えないさみしさに耐え、ゴリラからのグルメレポートに耐え、ゴリラのニオイを嗅ぎに行けないツラさに耐えた。


ついにこの日がやってきた。

みんなー!ゴリラがいよいよ帰ってくるわよー!


今日は夜勤明けで明日は休み。

全身脱毛済みだけどたま~にひょっこり現れたりするムダ毛がないようツルピカに処理をして、とっておきの下着を装着してお気に入りの服を着て、ゴリラを迎え入れる準備を整えた。


これでゴリラにどこからどんなことされてもオッケーよ!




駅。


さだまさしの名曲とともに改札の向こうから一際ガタイのいいゴリラがやってくる。


私を見付けたゴリラはウホッと笑った。


ゴリラがキタ───!!出張から帰ってキタ──!!


みんなー!ゴリラが帰ってきたよー!


北国帰りのゴリラ、少し疲れが見えるその表情がとてつもなくセクシー!!


改札を出て来たゴリラに抱きつく私。


「毛ガニは?」


「俺より毛ガニか」


「白い恋人は?」


「ご注文いただきました商品はすべて今夜うちに到着予定です」


「おかえりなさい」


「ただいま戻りました」


2人して同時に思いっきり深呼吸。


「ん~山田のニオイ」


「ん~後藤のニオイ」


ずっと嗅ぎたかったこのニオイ。

心なしか味噌ラーメンみたいなニオイがした。




ゴリラの家のちょっと前。


どう考えても隠せないけど電信柱の陰から様子を見る。


「……」


「ねえ…誰もいない?ワタシ…こわい」


と言って私を盾にして身を隠すゴリラ。


「ああ大丈夫。ってちょっと後藤!逆!逆だから!」


「キャアコワ~イ!助けて山田ぁ~!」


んもーなんなのその気持ちの悪い声!大好き!



あれ以来ゴリラの家には来てなかったけど謎の男・森くんの姿はなかった。


「今日はいないみたい。あーよかった」


2週間ぶりにゴリラの部屋に入る。


「それにしてもなんだったんだろうね?森くんて子」


先に部屋に入った私が後ろにいるゴリラに振り返ると


「会いたかった」


ゴリラが抱きついてきた。


「会いたかった」


私もゴリラに抱きつく。


「会いたかった」


「イェス」


「きーみーにぃー」


ハモった。キスした。


「んんー…んばっ」


激しすぎるゴリラのキスに苦しくて唇を離す。


「ご飯にする?お風呂にする?それともワ・タ…」


「山田」


ゴリラは私を更にギュウっと抱きしめる。力が強すぎて骨折しそう。


「んもう!『ワ・タ・シ♡』の『シ♡』まで言わせてよ!」


「お風呂で山田がいい」


そう言ってまたキスをしながら私の服を剥いでいくゴリラ。


んもう…相変わらずゴリラなんだから!



「山田」


「なあに?」


「1ヶ月分ヤルぞ」


「きゃあ♡」



すすきので修行をしてきた1ヶ月ぶりのゴリラはすごかった。


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