第22話
その日の夜、ゴリラから電話がきたので聞いてみた。
「今日後輩の森くんて若い男の子が後藤んちに来たけど」
「森?誰それ」
「私たちと一緒に飲んだ事あるって言ってたよ?」
「え?どこで?」
「〇〇って飲み屋」
「あー。〇〇行ったよね2人で。でも後輩と一緒に飲んだりはしてない」
「だよねえ!?」
「あれ山田さん。まさかとは思いますが俺がいない俺の部屋にその知らない変な男を招き入れたりしてませんよね?」
「まさか!部屋出たら外にいて、どちら様?何か御用?って聞いたら走って逃げた」
「そうか」
ゴリラの鼻息が少し荒い。
「山田」
「はい」
「とりあえず俺が帰るまで俺んち行くなよ?危ないから」
「うん」
「てか俺んち何しに行った?」
「うん?」
「ニオイ嗅ぎに行ったな?」
「違います」
さすが野生の勘。
「愛してるよ」
「私も愛してるわ」
やっぱりあの子と会った事なんかないし一緒に飲んだりしてなかった。じゃああの子はなんで一緒に飲んだとか言ったの?なんのために?え、なんなのあの子。おばけ?生霊?祟り神?いやだわーなんだか気味が悪い。ゴリラ不在でますます不安。
ゴリラが帰ってくるまであと2週間もあるのよ!どうしたらいいの?
ニオイ嗅ぎに行きたいのに行けないじゃない!
翌日。
ゴリラから調査報告書が届いた。
ゴリラの同僚(人間)に調べてもらったところ、森くんというジャニーズJr.みたいな若い男は確かに会社にいるらしい。
でもゴリラは森くんの事はまったく知らないし、接点もない、そんな森くんと飲み屋で一緒に飲むなんてありえない。との事。
森くんはおばけでも生霊でも祟り神でもなかった。実在する人間だった。
んもーなんなの?いやだわ。不気味。
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