第16話
私の前に正座するゴリラ。
「お手柔らかに願います」
と頭を下げてきたので私も思わず正座して頭を下げる。
「よろしくお願いいたします」
ってなに?なんなの?
「では、始めさせて頂きます」
ちょっと、ちょっとちょっと!
これから何が始まるっていうの??ムードとかないワケ!?
「あ」
何かを思い出したようなゴリラ。
あら、気付いてくれた?
大事なのはムードよ、ムー…
「最終確認」
「…ド」
「これから最も危険な作業に入るから、工程表を見直さないといけない」
「私は危険物か」
「免許はある」
「なら安心ね」
なに?なんなのコレ?こんな始まり方ある?
まさに『こんなの初めて♡』だわ!
馬鹿馬鹿しくておかしくて私は笑いが止まらない。
「そろそろよろしいでしょうか?」
急に真剣な表情になったゴリラ。
「あ、ハイ。ごめんなさい」
何を観ていたのか忘れてしまったDVDをゴリラが消すと部屋が一気に暗くなった。
ゴリラはゆっくり私の上に覆いかぶさるとキスをしてきた。
なによ…キスうまいのね…ゴリラのクセにっ!!
私の身体をいやらしく撫でまわしていたゴリラの手が服の中に入ってきた。
荒くなるゴリラの鼻息に興奮してしまう私。
ゴリラにめくられたニットからこぼれる私の豊満な胸。
「おおぅ…」
握力500kgとは思えないくらい私の胸をソフトに包み込むゴリラの手。
「…すっ、素敵なブラジャーですね」
私のヒョウ柄スケベブラジャーを見て大喜びのゴリラ。
起き上がってTシャツを脱いだゴリラの身体はそれはもうまさにジャングルの王者。
太い首に厚い胸、割れたお腹にゴリラな顔。私を見下ろすその表情はまさにボスゴリラ。
「いい…」
その姿に思わず見惚れてしまった。
私の服をスムーズに剥いでいくゴリラに他のメスがチラついてちょっとだけジェラシー。
なによ…その手付き…ゴリラのクセにっ!!
なによ…気持ちいいじゃない…ゴリラのクセにっ!
なによ…そんなコトまでしてくれるの…ゴリラのクセに…
よーく目を凝らして見なければわからないくらい小さなバナナがたくさんプリントされたかわいいんだかかわいくないんだか似合ってるんだか似合ってないんだかよくわからないボクサーパンツをゴリラが勢いよく脱ぎ捨てると私の目の前にとんでもないバナナの王様が現れた。
「すごい♡」
「ウホッ♡」
あぁ~ん♡
空耳じゃな~い♡♡♡
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