第15話
ゴリラの部屋。
「今日の寝床はここなのね…」
「…?」
さすが一流企業のエンジニアだけあってゴリラにしてはなかなかいい部屋に住んでいる。
「―――」
ゴリラが何か言っている。
「―――」
ゴリラが何か言っているがよく聞こえない。
「お腹すいた?」
「ピザでも取る?」
「おい無視か?」
「…んあ!あらやだごめんなさい私ったら」
私はいつの間にかゴリラの部屋にメス(もしかしたらオス)の痕跡がないか、鑑識バリに目だけで必死に物的証拠を探していた。
やがて大量のピザが配達され、ヤマダ電機で買ったDVD鑑賞会が始まった。
こんなゴリラみたいな顔してるクセに、部屋は思ったより片付いてるしなんだかジャングルっぽくてセンスいいし、テレビは薄くて大きいし、DVD観るためなのかなんなのか部屋はちょっとジャングルみたいに薄暗くなってるし、ソファーにこんな仲良く並んで座っていたら……
あぁ~ん!
私もうこんなの我慢できない!
ゴリラと一緒にいる事で野生化してしまった私は、我慢できずに隣にいるゴリラに抱きついた。
するとゴリラは小さな低い声で
「やめろ」
と言った。
「……」
…やっぱりメスは嫌いなの?
…やっぱりオスが好きなの?
それとも、いきなりこんな事する女なんて…って引いてる?
これだから場末のスナックホステスは…って思ってる?
「やめろ」
「ごめ…」
「俺のバナナが大変な事になるからやめろ(下半身に注目)」
「ごめ…ん?はぁー!?」
ウホウホ笑っているゴリラの顔がなんだかとてもすごく下品!
謝って損した!ホンッッット気に入らない!許すまじ!
私はこの豊満な胸をわざと押し付けてゴリラに更に抱きついて耳に唇を当ててやった!
「マジでやめろ」
そう言ってゴリラは私の肩を掴むと、ついに私を押し倒し…
押し倒し…
押し倒し……てこない!
なんにもしてこなーい!ホワーイ!?
「何待ってんだよ…クククっ」
ゴリラはまた変な声を出して肩を震わせていた!
んもーどこまでも気に入らない!世界の果てまで気に入らない!どんだけ私を馬鹿にすれば気が済むの!?
7テンリーチは激熱じゃなかったの!?バナナ群も出たのに!ハズレるなんてヒドイ…あんまりよ…
「青のり取った?」
キイィーー!!ムカつく!!
「取ったわよ!でもさっきのピザのバジルが付いてるかもね!」
「虫は…」
「もういい!」
「虫は付いていない、ヨシ!」
「なにがヨシ!よ!なにがいいのよまったくもう!プンプン!」
と膨れる私の唇に指差し確認をして突然キスをしてきたゴリラ。
「ん」
7テン激熱リーチをハズしたと思ったらなにこの復活演出!
感動で思わず目を閉じてしまう私!
もっとキスしてほしくてゴリラの背中に腕をまわしてしまう私!なにこの体!厚みがすごい!
ああん!やっぱり髭が当たる!
何故!何故こんなに嬉しいの!?
「ニンニクくせぇ」
私の唇を奪ったゴリラの第一声。
ピザを頼んだのはゴリラです!
ニンニクはピザに入っていました!
そのピザをゴリラも食べています!
ああん!気に入らない!でも嬉しい!
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