第7話

香織のせいであのゴリラが気になるようになってしまっている私。


あの日パチンコなんか行かなければ…

私の頭の中にこんなにゴリラがはびこる事はなかったのに…。


そもそもあのゴリラが私の隣に座ってきたのが事の発端じゃない!

人を場末のスナックホステス呼ばわりしたあのゴリラが憎い!

文句のひとつでも言ってやろうか、スマホの連絡先を開いた所で気が付いた。


あぁ、番号知らないんだった。


それから何故か私の頭の中は益々ゴリラとバナナでいっぱいになっていった。


女も26にもなれば、そりゃーそれなりに色々あるワケで。


ゴリラにも言われたように、私は場末のスナックホステスに見えるような女。

私は銀座の高級クラブのホステスにしか見えないと思うんだけど。


実際はわりと忙しい看護師で。こう見えて真面目に働いている。

仕事が不規則だからそれでダメになってきた事も結構ある。


玉木宏似の男もそうだった。

その前の男も。その前も…。

面倒な事は嫌い。

お酒も飲むし煙草も吸う。

どちらかと言うと男みたいに本能の赴くままに生きるタイプ。


今流行りの草食系?とか無理。

やっぱり男は肉食じゃなきゃ。


「ゴリラーマンみたいな?」(香織ボイス)


そうゴリラーマンみたいな!


……。

ちょっ、ちょっと…。


何故、私の頭の中はこんなにも香織とゴリラとバナナに支配されているのか。


きっと疲れてるんだわ…


「あー疲れた」


仕事が終わった私は何故かゴリラに負けたパチンコ屋に向かっていた。


なんか混んでる…。

ああそっか、今日、日曜日だ。

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