第6話
「――ってのが昨日の話」
「ふーん」
同じ職場の香織26歳彼氏アリの反応がいまいち薄い。
「あら?あんまし興味ない感じ?」
「焼肉食べて終わり?」
「うん」
「その後なんかないの?」
「うん。うん?」
「つまんな~い」
「するってーと何かい?香織さんよ。私とあのゴリラになんかあった方が良かったとでも!?」
「あのゴリラって言われたってわかんないし」
「あのゴリラはあのゴリラよ!」
「アイツにフラれた腹いせにそのゴリラとどうにかなっちゃえば良かったのにぃ~」
自分は大沢たかお似の彼氏がいるからって、病院で『仁先生』などと皆から大人気のドクターの彼氏がいるからって、なんて適当な事を言う同僚なのか!
「でも美奈子、ゴリラ系の男嫌いじゃないよね?」
香織がニヤニヤしている。
「……」
そうだった。
確かに嫌いじゃない。
「で、そのゴリラーマンとは次いつ会うの?」
香織がニヤニヤしている。
「ゴリラーマンてアータ…」
勝手にあだ名をつけないで下さい。
「あ」
香織に聞かれて気付いた。
「連絡先聞いてないや」
「えぇっ!?」
「聞きもしないし聞かれもしない」
「なにそれちょーつまんなーい」
パチンコ屋で野生のゴリラに遭遇するというアンビリバボーな体験談を話したにも関わらず、香織につまんないと言われてしまった。
申し遅れました。
私、山田美奈子26歳。
彼氏ナシになったばかり。
職業・場末のスナックのホステスに見える(ゴリラ談)看護師。
好きな食べ物・ハラミ。するめ。
好きな飲み物・アイスコーヒー。
好きなタイプ・ワイルドな人。
ワイルドな人…
肉食系…
ゴリラ系?
ゴリラーマン??
香織が変な事言うから、頭が変な事考えるようにプログラミング変更されちゃって大変迷惑している今日この頃。
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