第2話・説明

目を覚まして一番に目に入り込んできたのは、鮮血の赤ではなくて。

「青い、空?」

青空だった。

発表会の帰りだったから確実に20時過ぎだったはずだからなんだか様子がおかしい。

僕は、病院で。てっきり目を覚ますものだと思っていたのに。

というか、何だかここはモコモコしているし、随分と気持ちがいい。

まるで、雲の上に立っているようなそんな気分。

それどころか、僕はいつ立ったんだろうか。奇跡的に事故で一回転してたった状態で、目覚めたとしても。

いやいや、何を馬鹿な。

確実に何かおかしい。

「ここは一体?」

「おっと、やっと目が覚めましたか。なかなかに次の主様はお寝坊のようですね」

すると、聞き馴染みの良い声で後ろから話しかけられた。

振り返るとそこには中性的な美人が立っていた。

「まだ、その顔は夢の中のような気分でいらっしゃられるようですね。それでは、少し失礼して」

すると美人は僕の頬に手を当てて。

パシン!!!っとひっぱたいた。

「いっ、た!いた、いったい!!!」

僕が叩かれた頬に手を当てて大声をあげると。何とも面白そうに美人はニヤリと笑い「夢じゃないでしょ?」と一言。

「いや、あの酷くないですか?」

流石の僕も少し怒ってそう言った。

「酷くないです」と、美人はサラリと受け流した。

「さて、と。本題に入ります」

「突然!?」

「まずは、鏡を見てください」と、ポケットの中から手鏡を取り出して美人は僕に手渡した。

受け取って鏡を覗き込んで僕はギョッとした。

「だれだ、こいつ?」

鏡には、美少年が映っていた。

少し赤みがかった紫色の髪の毛に、太陽のような色のキラキラと輝く瞳に、スっと高い鼻、ピンク色の健康的な唇の色、何とも美しい、美少年である。声は、僕と同じだし、口をパクパクとさせると鏡の中の美少年も口をパクパクさせる動作も同じである。服装は、まるで魔法士のような真っ黒なローブ姿であった。

「え?これ、僕ですか?」

「はい、貴方様です。

色々と追いつかないでしょうし、説明させてもらってもよろしいでしょうか?」

「は、はい。お願いします」と、僕は正座して美人に頭を下げた。

「ここは、世界の最南端シャイン王国の空の上でございます。

おっと、色々言いたいご様子ですが。少々黙ってお聞きください。

ここは、貴方が事故にあった世界とは根本から違うのです。

・・・はい、貴方様は事故に遭いました。ご家族とご一緒に。お父上は残念ながら亡くなりました。

泣くのは、後になさってください。

そんな時間、今は無いのです。

貴方様は、今この瞬間から長い旅をしなくてはなりません。

長いといっても、ここから世界の最北端エンドロールを目指し、エンドロールから貴方の住む世界へと帰るだけなのでそこまで長い旅にはならないでしょう。

この世界は、貴方様の言う平行世界の一つエンドという世界でございます。

貴方様は手違いでここにやってきてしまったご様子。

境界を操る神様がそんなことなさないのですがね。1週間前から不在なのです。

なので、自力でエンドロールへと言ってもらわらなくてはなりません。

道中色々危険でしょうし、何も分からずに放り出すのも可哀想だと思ったので勝手ながらワタクシ、慈愛の天使と致しては酷いと思ったので勝手ながらこちらの世界で貴方に勝手に魔力を持ち合わせた人間にしてしまったのでそのような姿になっております。ご了承ください。

さて、それでは最後にこの地図をお渡しするので。

・・・・・・良い旅を」

また、ポケットから地図を取り出して僕に手渡してからから慈愛の天使だという美人は手を振った。

その瞬間、水の中に落ちるような衝撃とともに視界が暗転した。


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エンドロール 花園ひなた @taohinata

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