魔王の手下

魔王を検索すると、シューベルトが出てくる。続いて芋焼酎。あとはアニメとか。

キリスト教での魔王とはサタンを指し、堕天使ルシファーが元になっているっぽい。

アニメやゲームでよく出てくるキャラだ。

仏教での魔王とは第六天魔王波旬のことらしい。

第六天魔王といえば織田信長が名乗ったことが浮かぶ。

波旬とは名前のようでいて、悪者を意味するらしい。

僕はネットで魔王を調べていた。

ただし、勇者を名乗るユーナがいる。

魔王と勇者のセットは完全にゲームかアニメの世界だ。

そんなことをしていると

「お兄ちゃん..」

妹が僕を呼び出すのだった

「何だ...」

僕は部屋を出ると由依が真剣な顔でスマホを見ているのに気づいた

「お兄ちゃん、これ見て...」

由依が真剣な表情で画面を指さす

そこにはあるニュース記事が表示されていた。

その記事の内容はこうだ

『女生徒が学校から姿を消しました』

とあったのだった

「何だ...」

僕は困惑しながらも読む

『女生徒の名は山田 陽菜子。18歳です。』

山田?

まさかと思った

『山田 陽菜子さんは登校中に姿を消したようです。』

僕は固まる

『山田 陽菜子の親は警察に捜索願を出しています』

由依は僕の方を見て

「お兄ちゃん、この山田さんって..」

と言った

「あぁ..」

山田美月の姉だ。

彼女と彼女の姉とは、妹と一緒に幼い頃からよく遊んでいた。

僕がクラスで唯一話す女子なのはそのためだ。

僕はすぐにLINEで山田に

『陽菜姉ちゃんはどうしたんだ?』

とメッセージを送る

『分からないの...』

すぐに返事が返ってくる

『警察は何か言ってないのか?』

『まだ何も...』

僕は由依の方を見る

由依も僕の視線に気づく

「..お兄ちゃん...」

由依が不安そうな顔で言う

「..」

僕は沈黙する。

何か嫌な予感がしていた。


そして、次の月曜日。

山田は学校に来なかった。

学校は騒がしかった。生徒が一人消えたのだ。

みんながそのことを話題にしていた。

青原先生がホームルームで現状報告と注意喚起を行なっていた。

彼女は自分が魔王の手下と言っていたことを思い出す。

あれ以来、気恥ずかしくて先生とはうまく話せていない。

魔王の手下を名乗る大人と消えた生徒。

何か繋がりがあるように思えてならない。

ユーナ、あいつは何か知っているんじゃないか。

僕はユーナを探すことにする。

呼んでいない時には急に現れるくせに、こちらから探すと見つからない。

連絡の手段がないのだ。

そして昼休み。

僕はユーナを探して体育館裏にやってきた。

そこでユーナの友達の二人を見つけた。コンサートホールにいた二人だ。

「あれ?君たち...」

二人はびくっと反応するとこちらを見る

「..ユーナはいないのか?」

僕が聞くと

「知らない...」

一人がぶっきらぼうに答える

「..」

もう一人の子がぼそっとつぶやく

「ユーナは...」

僕はそちらの方を見る

「ユーナがどこにいるか知ってる?」

「...」

会話が進まない二人だ。

「ユーナっていったい誰なんだ?なんでコスプレで仮面を?」

僕は二人に聞いてみる。

すると二人は顔を見合わせると、

「...私たちも知らない」

と言った

「でも、ユーナはね...」

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