廃墟
一人が言いにくそうに続ける
「...生まれ変わってきたの...」
もう一人の子が続けた
「生まれ変わってきた?..」
僕は戸惑う。
「いきなりキャラが変わったの」
「自分は勇者だと言い出して...。それまでは普通だったのに」
二人はそう語る。
生まれ変わり?本当に異世界転生だっていうのか?
「やあ、同胞よ!」
するとユーナが現れた。
彼女はいつものように仮面を被り、フードをかぶっている。
「どうした?私を探しているのか?」
彼女は嬉しそうに言う
「..あぁ、そうだ。この学校で女生徒が消えたが、何か知らないか?」
僕が言うと彼女は一瞬黙ると
「ふむ...山田陽菜子...」
と唸った
「心当たりはあるのか?」
僕が聞くと
「そうだな...」
と答える
「お前か?」
「いや、違う..」
「じゃ青原先生は何か関わっているか?」
「彼女は魔王の手下だからな..」
「...魔王やその手下って何なんだ?陽菜姉ちゃんはどこなんだ....」
「....」
ユーナは黙って考え込んだ
「..魔王は保科星乃だ...」
彼女はそう答える
「陽菜姉ちゃんはどこなんだ....」
「分からない....」
ユーナは一度言葉を切ると言った。
「が、心当たりはある」
「どこだ?」
僕が聞くと彼女は
「この近くの廃墟だ...」
と答えたのだった。
「廃墟?...」
僕が聞くと彼女は
「おそらく魔王の手下が潜む場所の一つだ...」
と言うのだった
「分かった。案内してくれるか?」
彼女は頷く。僕は彼女についていくことにした。
僕らの学校は駅から離れていて、少し歩くと大きなショッピングモールがある。
が、田舎なのでそれ以外は田畑だらけだ。森や林もそこかしこに広がっている。
なぜか、そういう場所に小さな廃ビルや、空き地があったりするのだが
ユーナに連れてこられた場所はそんな所ではない、もっと遠くだった。
そこは学校からは10キロ以上離れていて、バスでも20分はかかるような場所だった。
そこは広い森があり、その中にはは大きな廃病院があった。
建物は古びており、ボロボロだった。
「ここが...」
僕が呟くと
「ああ...」
とユーナが答える
「中には入れそうなのか?」
「問題ない」
ユーナは自信ありげに言う
「行くぞ...」
僕たちは廃病院に近づいた。
建物は3階建てだった。
入口は錆びて開かなくなっているようだった。
僕は窓ガラスを割って中に入ることにした。
「いくぞ..」
僕は窓を割って中に入ると、ユーナも続いて入ってくる。
中は真っ暗で何も見えなかった。
ポケットからスマホを取り出すとライトを点ける。
廃墟には独特の匂いが漂っているようだった。
埃やカビの匂いだろうか
僕はスマホのライトで辺りを照らす
「..誰もいないのか?」
「そうだな..」
ユーナはあたりを見回している。
僕らはいったんロビーのような広い部屋に出るが、その先には扉があり、左右に階段も見えた。
「どっちに行けばいい?」
僕が言うと
「そうだな...上だ」
とユーナが答える。
僕らは階段を登った。
2階にはいくつも扉が並んでいた。
その奥は暗いのでライトを点けつつ進むと突き当たりに出ていくつもの扉が見えた。
そのうちの一つのドアが開いているので僕たちは中に入る。
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