プレゼント
翌日の金曜日。
朝早くから雪が降り出し、外はすっかり雪に覆われていた。
教室では
「寒いねぇ...」
山田が言うのだった。
「そうだな..」
神田がそれに頷くのだった。
僕も同意したかったが、朝からユーナに拉致されていた。
「おい!何なんだよ!」
ユーナに連れられた場所は体育館裏だった。
彼女はいつもの勇者の格好をしているのだが、今日は少し雰囲気が違った気がした。
バス停でいきなり気を失わされて気がついたらここだった。
彼女は真剣な表情をしているように見える(仮面なので分からない)僕の前に立つと、
「我が同胞よ...」
と言うのだった。
「保科星乃に深く関わるな...」
「...」
「..彼女は人間ではない...」
ユーナは僕に近づき、その手をとる
「..魔王なのだ...」
「それは何なんだ?なんの設定なんだ?」
「やがて分かるがそれでは遅い...。彼女に近づいてはいけない」
「...」
「それでは、な」
そう言ってユーナは去って行った。
放課後、僕は星乃先輩と一緒に街に出ていた。
「あの...桜井くん...」
「何ですか?」
先輩が少し不安そうな顔で言う
「ちょっとついてきてくれない?」
僕は先輩の案内に従い、駅前の大きなデパートに入るのだった。
そこはデパートというより、ショッピングモールのようだった。
店内はクリスマスソングが流れ、イルミネーションの光が辺りを照らしている。
僕はクリスマスという時期が好きではなかった。
家族との思い出があればきっと楽しいのだろうと思わなくもないが、家族にあまり興味がないから別に構わないと思っている自分もいるのだった。
星乃先輩は楽しそうに僕を見る
「何か欲しいものある?」
「...いや...」
僕は首を振って答えるのだった。
「桜井くんは何か買わないの?クリスマスプレゼントとか...」
僕は少し戸惑う
「..いえ..まぁ..」
僕は頭を掻く
「何買うの?」
先輩が聞いてくるので
「妹に..かな..」
と言うと彼女は目を輝かせて
「じゃあ一緒に買い物しよ!」
と言うのだった。
結局、僕と先輩は妹に何を買うか決めることになった。
「何か可愛い服を買ったりしたら喜ぶんじゃない?」
「..ちょっとハードル高いような」
僕は妹の服のサイズなんて知らない。
「じゃあ...あ、あれいいかも...」
先輩は僕にアクセサリーを売っているお店を指す
「..えぇ?アクセサリー..ですか..」
僕が戸惑うと
「女の子だったらみんなアクセサリーに興味があるよ...」
と彼女は微笑む
「..」
僕は彼女に促されるまま店に入っていくのだった。
アクセサリーはキラキラと眩しい光を放っているようで僕にはよく分からない代物だった。
先輩は目を輝かせていた
「..どう?なんかいいのはある?」
「うーん...」
僕が戸惑っていると
「じゃあ..これとか」
と言って先輩はシルバーのネックレスを見せてきた
「...」
僕はそれを見て
「..これ..いいですね..」
と言うと先輩は少し笑って
「じゃあこれにしよう」
と言うのだった。
レジでプレゼント用の包装をしてもらう。
「実はこの後、隣のホールで演劇をやるの。一緒に観に行かない?」
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