回想

家に帰ったあと妹のご飯を食べて自室で横になっていた。

魔王とは何なのか?

その言葉に漫画やアニメで聞くポップな印象とは別の何かを感じ始めていた。

僕は自然と昔のことを思い出していた。


幼い頃、僕は両親の愛情を求めて必死だった。

しかし、彼らは忙しく彼らの関心はいつも仕事のことばかりに向けられていた。

僕は何とかして自分の存在を認めてもらおうと、時には極端な行動に出ることもあった。

ある日、庭で小さな鳥の巣を見つけ、そっと手を伸ばして鳥の雛を取り出した。

そしてそのまま、両親の前でその雛をコンクリートの地面に叩きつけた。

雛のひしゃげた体と赤い血が地面に広がる。

その様子を見ながら、不思議な満足感が僕の中に湧き上がった。

両親の驚いた顔に、やっと自分に注目が集まったと感じたのだ。

けれども、その後は思った通りにはならず、両親は僕からさらに遠ざかっていった。

それ以来、彼らの視線は冷たく、どこか恐れるようなものに変わった。

愛情の代わりに、僕に向けられるのは距離を置いた冷たい目だけだった。

そうした経験を積み重ねるうちに、僕は次第に自分の感情を表に出さないようになった。

心の奥底に、歪んだ愛情と残虐性が混ざり合った何かを閉じ込めるようになったのだ。

今の僕の心の中には、幼い頃の記憶が歪んだ鏡のように残っている。

時折、その記憶が蘇ると、僕の目に一瞬だけ冷たい光が宿る。

あれは、かつて感じた満足感と、胸の奥にしまい込んだ後悔が入り混じった、

何とも言えない感情の表れなのかもしれない。

今でも心の中が仄暗く、内側から無数の針で刺されているように痛む。

だから誰とも関わりたくはない。一人が楽だ。

でも、星乃先輩もだろうか?

僕は彼女が好きなのか。好きになっていいのだろうか。

心を閉ざしているうちに、自分の心の何が本物がよく分からなくなっている。


そんなことを考えていたら、眠くなってしまったらしい。

ふと目を開けると真っ暗になっていた。

どうやら僕は寝てしてしまっていたらしい。

時計を見ると23時過ぎだった。

スマホを見るとLINEのメッセージが届いていた。

星乃先輩からだ。

『桜井くん、今大丈夫?』

僕はすぐに返信する

『はい。大丈夫ですけど』

しばらくすると、返信が届く

『ごめんね!突然!』

『いえ...大丈夫です...』

僕はすぐに答える。

『あの...明日って一緒に帰らない?』

『えぇ...いいですけど..』

『よかった...』

先輩はそこで一度LINEの送信を止める

『一緒にどこか行かない?』

僕は先輩からの誘いに驚きながら、

『いいですよ..どこに行くんですか?』

と返すのだった。

『...』

『?』

しばらくLINEのやり取りが止まってしまう。

すると、また送ってくる

『ごめんなさい』

とだけ返ってきたのだった。

僕は少し気になるところだった。

しかし、もう23時を回っていたので、今日は寝ようと決めたのだった。

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