#エピローグ・1 イーシャの手記 1月1日2139年

キース、私はお前に話したいことがたくさんあった。

お前が死んでからも、たくさん話したいことができたよ。


ウルフは監獄に入れられて、罪を償っている。

あの時少女を助けたことを誇りに思っているそうだ。

お前に対しては何の償いにもならないだろうが、優しいお前のことだ。少し気が晴れただろう。

私は許してはいないけどな。


そして私は後始末を終えてからすぐに警察を辞めた。

故郷の町にでも帰って、ゆっくり過ごすとする。

今日は帰郷の日だ。エルマンが近くに行くから、ついでに車に乗せてもらうことにした。

その車の中でこの手記を書いている。私が長年暮らした中央街は、とっくに見えなくなった。

お前との思い出の場所も、あっけなく小さくなっていってしまう。寂しくはない。

この煩わしく感じたこの荒野の悪路も、なんだか心地よいものに思われてくる。

キース、たまには墓参りに行くから、あまり寂しがらないでくれ。


一つだけ、お前に文句がある。

私はお前のせいで一生独身だ。

責任をとれよ。バカ野郎が。

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