#8 アリエの日記 11月30日2138年

また今日も助けられた……。

私たちは今日、新しいコロニーにたどり着いた。私はデイルおじさんにいいって言ってるのに、やっぱり私の新しい家を探してくれる。

あちこちの家や店を回った。そんなことしなくても、私はおじさんの家に済ませてくれたらいいのに。私はいつもそう言う。

でもおじさんも決まって、「俺は妻の仇をとるために生きているだけだ。仇討ちがすんだら、妻の墓の前で死ぬつもりだ」

一緒に住むことはできないんだって。私のその先を考えてくれるのは優しいけれど、なんだかネジが外れていると思う。

おじさんのバカ野郎。なんだか悲しくなってきた。

そんな風に、家を探していた時、町はずれの店で雇ってもらえるんじゃないかって話を聞いて、土の匂いのする道を歩いていた時だった。辺りは夕暮れ。

そこに、犬みたいで黒い化け物の群れが飛び出してきて、私たちを襲った。

おじさんはとっさにピストルを取り出して、化け物たちを撃っていった。

デイルおじさんは今日も私をかばってくれた。私を背中に隠してくれた。

でも、そのせいで、おじさんはケガをした。背後にいつの間にか化け物がいて、囲まれてて、そのうちの一匹が私に向かって来て、おじさんが私を突き飛ばして、代わりに腕を噛まれて……。

結果的に助かったけれど、今日も助けられてしまった。私はおじさんの役に立つことなんてあるのかな?

私は、ただのお荷物にしかなってない。こんなんじゃ「保護対象」なんて言われるのも無理はないよ……。

なんだか暗い気分になってきた。今日はもう休もう。


追記・おじさんが、私に缶詰をくれる。私の好物の鳥肉だった。(私、暗い顔をしてたのかな? ちょっと情けない)

私はそれを食べたけれども、おじさんは、パンをかじっていた。

私がそれを問うと、それで最後だからな。と言った。どうやらそれが最後の缶詰だったらしい。

私はおじさんの支えになることを誓う。

あくまで、対等で、おじさんの旅の相棒として。

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