第五章:スカイラス連邦解放作戦

第21話:スカイラス連邦解放作戦発令

 大陸攻略用戦車ヘラクレス――撃沈。

 

 これにより、クレセント連合の本拠地と化したディスピア公国。

 そちらからの攻撃を弱める事に成功した。


 敵――クレセント連合も国境付近に防衛用の部隊を展開。

 それによって各国への攻撃が弱まった。


 結果、レイン達の活躍により、ある作戦が立案される事となった。 


 ♦♦♦♦


 セルバンテスのブリーフィングルーム。

 そこでレイン達はいつも通り、アールから次の作戦を伝えられていた。


「諸君のお陰でヘラクレスは撃沈! これにより、敵は国境付近の防衛の為、各地域から部隊を引き抜いた。そのお陰でスカイラス連邦・バルトロ共和国への攻勢が弱まった」


 そう言ってアールはモニターに戦力の移動図を見せた。

 

 言った通り二か国から部隊が減り、代わりにディスピア公国の国境周辺に防衛線が作られていた。


「ヘラクレスの穴を埋める為に、部隊を戻したのか?」


「その様だ。そして、そのお陰である作戦が立案された。――『スカイラス連邦解放作戦』だ! 敵の戦力が減った今こそ、スカイラス連邦全てを取り戻す!」


 アールはそう言ってスカイラス連邦の地図を表示させた。

 それに映ったのは、北の方を中心に赤く染まっている地域だ。


「幾つかの基地は既に奪還している。だが、北――ディスピア公国と国境が連なる地域は、やはり防衛力が高い。だが今は状況が変わった。スカイラス国内の敵戦力が減った今こそ、取り戻すチャンスが出来たんだ」


「あの! 地図を見る限りだと、国内の敵の重要拠点は……やっぱり――」


 カレンは地図を見て、念の為にと手を上げて聞いてみた。

 北のエリアで敵の重要拠点――それこそが、今作戦の最終攻略拠点だ。


 その場所を恐る恐るカレンが聞いてみると、アールは当然だと言わんばかりに頷いた。


「君の思っている通りだ少尉。スカイラス連邦内で、敵の最大の重要拠点――それは国内二番目の規模の基地がある大都市――<ツーフェン>だ」


「やっぱり……!」


「ツーフェンを落としますか……!」


 アールの言葉にカレンとクロックも渋い顔を浮かべた。

 他のパイロット達も同じだ。


 本来ならば、ディスピア公国へ睨みを効かせる為の基地だ。

 だからこそ、そこの防衛力は有名だ。


 基地がある限り、ディスピア公国は余力を残してスカイラスへ侵略できない。

 そう言われる程の戦力と防衛力がある。 


「だが、今はツーフェン攻略は無理だ。戦力以前に、周囲の基地や都市を解放しないとセルバンテスですら入れないぞ」


 レインの渋い表情と言葉に、アールも頷いた。


「分かっているさ。だからまずは周辺の基地や都市を攻略する! 各基地へ物資や戦力を集め、南から北へと一気に攻める! 我々は遊撃の役割が多いと思われるが、そこは諸君らに期待する」


「遊撃か……」


 レインは何とも言えない顔をした。

 遊撃部隊。一見自由なイメージがあるが、目的は劣勢での援護。

 そして敵エースの対処なのだろう。


 完全に進んで貧乏くじを引かせる様なものだ。

 カレン達も察してか、疲れた顔を既に浮かべている。


「遊撃って……こっちの戦力の大半は<イーグルヘッドⅡ>なんですよ? 流石に性能差が」


「それも何とかする。現在、近代改修した<イーグルヘッドⅢ>や新型機<アリエス>を要請している。全ての転換は無理だが、戦力差は埋まる!」


――だと良いがな。


 レインはアールの言葉に内心でそう呟いた。

 いくら機体が良くても、結局はパイロットの腕が物をいうからだ。


 そして、攻略する場所にもよるだろう。


「最初はどこを狙うんだ?」


「命じられた場所は北西――<ニュウナイス基地>だ! 既に味方の陸軍やAS部隊も向かっている。合流は二日後! すまないが、君達に頼るしかないんだ」


「了解」


 アールの敬礼に対し、レイン達もやるしかないと敬礼で返すのだった。

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