第19話:VSヘラクレス&アトラス小隊

 レインはヘラクレスの砲撃を回避しながら接近し、そのまま砲台や周囲を大型ビームブレード『アクティオン』で両断していく。


 古い設計故に、ヘラクレスの装甲はビームで簡単に斬れてしまう。

 だからイーグルは周囲を斬りまくり、次へ次へと砲台や機銃を切り裂いていく。


『敵ASによる被害甚大!! 艦長命令を!』


『馬鹿な!? 奴は1機の筈だ……! たった1機にこのヘラクレスが! 公国の魂が!!――えぇい! 撃ち落とせ! ミサイルも全て撃て! AS部隊も展開させろ!!』


 爆炎を上げながらも、イーグルへ攻撃を続けるヘラクレス。

 イーグルが上空へ上がると、ミサイルも撃ってくるがアクティオンで切り裂いた。


 そしてミサイルが爆発する前に、イーグルが距離をとってから爆発。

 逆にイーグルは反撃する様に、ビームガンで各武装へ射撃して破壊していく。


 そして隙が出来ると一気に接近し、右車輪部にアクティオンを突き刺した。

 そのまま一気にスラスターを吹かし、一直線に両断し右翼の動きを完全に停止させる。


『右部の車輪完全停止!』


『あの蒼い十字架……いや渡り鳥はガルム中隊や怪物を葬った奴じゃないのか!?』


『えぇい! AS部隊は何をしている!』


『すぐの発進します!』


 ヘラクレスはパニック状態の中、冷静な者達が何とか指示出していく。

 やがて、ヘラクレスから4機のASが飛び出してきた。


「あれは……! 公国のAS『ガーゴイル』か!」


――ガーゴイル。それはディスピア公国の主力ASであった。


 脚部・肩部・背部のスラスターが大型化しており、武装の全てが内蔵武器なのが特徴のASであった。


 そのAS――ガーゴイルの二つ目が、イーグルを捉えた。


『こちらアトラス1――敵を捉えた』


『あれがエース狩りの渡り鳥か……!』


『ヘラクレスはもう駄目だが、何とか奴を落とせば!』


『アトラス4――仕掛ける!』


 4機編成の護衛部隊――アトラス小隊がイーグルへ迫る。

 その内の一機がイーグルへ、両腕部からビームブレードを展開するしながら迫った。


 レインは迎え撃とうと、周囲から敵の援護射撃がある中で目の前の敵を捉えた。

 そしてアクティオンを振り下ろすと、両者のビームブレードが干渉し合ってスパークを起こす。


 けれど、それは僅かな時間だけだった。

 出力差もあり、そのまま相手のビームブレードを突破してガーゴイルを両断した。


 そしてガーゴイルは、そのまま大きな爆発と共に空で消え去った。


『アトラス4が――!』


『コーカス!?』


『くっ! やはり魔犬や怪物を倒してきたエースなでだけある。連携で仕留めるぞ!』


 アトラス1の言葉を受け、残りのアトラス2、3も続いていく。

 そしてガーゴイルの掌にあるビームガンを放ち、腰部の重機関銃を放った。


「射撃戦で来たか……なら――」


 一定の間合いからアトラス小隊が近寄らなくなった事で、逆にレインは考えた。

 アクティオンを背部に収納し、ビームガンを持って一気に翼を広げた。


 そしてスラスターを一気に吹かし、アトラス小隊を無視してヘラクレスの機銃などを潰しに掛かった。


『なっ! 我らを無視するか!?』


『ヘラクレスから緊急連絡! 防衛せよとのこと!』


『だが奴は早い! このガーゴイルでは推力で負けている!』


 アトラス小隊は迷った。

 これは敵が自分達を誘っているのだと分かったからだ。


 射撃ではあの速さを捉えられない。

 しかし、接近戦は危険だった。


 そんな中で、次の連絡が入る。


『更に入電! 敵の母艦と多数のAS部隊が接近しているとの事です!!』


『やはりか!』


『もう時間がありません! 突貫します!!』


『なっ!? 待て! アトラス3!!』


 アトラス1の言葉を無視し、アトラス3はイーグルへと向かっていく。

 ビームガンを放ち、ビームブレードを展開しながら接近してくるガーゴイルにレインも気付いた。


「掛ったか!」


 敵機が近くにいると、アトラスからの射撃が弱まるのだ。

 その弱まった所でイーグルは急ブレーキを掛けた。


 すると、必死に追って来ていたガーゴイルが、思わずイーグルを追い抜いてしまう。


『しまった! 背中を――』


「背中を見せたら死だ!」


 すぐに態勢を――そう思った時には、イーグルは目の前にいたガーゴイルを背部から撃ち抜いた。


 そしてガーゴイルは火花を散りながら、下へと落下していく。


『何なんだ奴は!!』


『誰か奴を止めろ!!』


『ヘラクレスはあの蒼十字を撃て!!』


 味方のAS部隊では歯が立たない事で、ヘラクレス内から悲鳴が木霊していた。

 そして残りの火力をイーグルへ集中させていく。


「嘗ての要塞戦を思い出すな……!」


 レインは震える手を必死に抑えながら、ヘラクレスの火器を上空から撃ち抜いていく。


 そして僅かでも自身の安全地帯を広げようとした。

 少しずつだが機銃やビーム砲の数が減っている。


 ヘラクレスは一部が誘爆し、沈むのは時間の問題だが手数が足りなかった。

 そしてレインは、再びレーダーに映るガーゴイルに思わず舌打ちをする。


「チッ――下がれば良いものを!」


 アトラス小隊はエースではない。

 それをレインは既に見抜いていた。


 ヘラクレスに万が一が起こった時用の保険だったのだろう。

 しかし、ヘラクレスと両方を相手するにはあまりにも面倒であった。


「どっちを相手する……!」


 レインはヘラクレスか、アトラス小隊か。どちらを相手にするか迷った時だった。

 再びレーダーに反応があった。


「新手――いや、これは!」


「隊長!!」


「間に合いましたか!」


 ブースターを背部に付け、現れたのはカレンとクロック――彼等が駆るエクリプスとイーグルヘッドⅡKだった。


 二機はブースターを外すと、すぐにイーグルの傍に来てくれた。


「隊長! 状況は!」


「敵2! ガーゴイルだ! その二機は任せた。俺はヘラクレスを潰す!」


 カレンからの問いに、レインはそう言ってハンドサインで敵を示した。


「あれね、了解! やるわよイーグル3!」


「了解ですイーグル2!」


 互いに意思疎通を図り、レインはヘラクレスへ。

 カレンとクロックは、敵のガーゴイルへと向かって行った。

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