第14話:戦いの意味
イーグルとサイクロス。両機は互いに距離を詰め、ビームブレードを振るい合った。
時折、距離を離してから助走をつけて再び迫る。
そして今度は両機は回りながら鍔迫り合いをし、相手の姿勢を崩そうと試みるが上手くいかない。
双方が同じ考え。似た動きをし、技量も共に高い。
それ故に、短期決戦になる可能性もある。
だが、それでも二人は派手に操作するが、冷静さを失ってはいなかった。
鍔迫り合い、からの互いに機体を押してバランスを崩そうとする。
それが失敗すると、すぐに距離を取る。
そして今度はビームガンを同時に放ち、ビームは互いに相殺して消えた。
ならばとイーグルは上空へと一気に飛び、太陽と重なる様に空へ君臨する。
これでバークの視界を抑えようとしたのだ。
『チッ! やりやがる!――だが、この動き……! 貴様! やはりレイン・アライトか! その動き、何度も映像で見たぞ! アッハッハッハ! あの伝説と戦えるとはな!』
そう叫び様にバークは話しながら、サイクロスを上空へとあげた。
無論、イーグルからビームガンや機銃が放たれるが、ビームは完全に回避し、機銃だけは多少被弾しながらも上がっていく。
そして両機が間合いに入ると、両機は武器を持ち換え、再びビームブレードでぶつかり合う。
『よく生きていたな! これだから戦争は面白い!!』
「戦闘狂め……! お前の為に生きていた訳じゃない!」
鍔迫り合い。そこから両機は同じタイミングで距離を僅かに取って、そこから蹴りを放ち、互いにぶつかり合う。
「チッ! やはり手練れか……!」
『やるな! 流石は伝説のエースだ! 俺とここまでやり合うとはなぁ! 最高だ! もっと楽しもうぜ! 死合う事こそ! 戦争の醍醐味だろう!! 英雄さんよ!!』
「残念だが違う! お前みたいな奴等が少数だ!!」
一瞬の隙を突き、イーグルはサイクロスのコックピットである腹部を蹴った。
しかし感じた感触から、装甲は厚いとレインは感じ取った。
『ぐっ!?――ざ、残念だったな! このサイクロスは俺様専用に、装甲も強化されているのさ!!』
バークはそう叫び、サイクロスの腕部に設置されているマシンガンをイーグルへ放った。
それに対し、イーグルは二枚の翼を閉じてシールドの様にマシンガンを防いだ。
そして残った翼――羽の先端をサイクロスへと向けると、そこから鋭いビームを撃った。
『うおっ! やるなぁ!!』
だがサイクロスは紙一重で、それを回避。しかしマシンガンを撃つのを止めてしまう。
「もらった!」
そこへイーグルは翼を一気に広げる。
そして風を起こす様に翼を動かすと、ガルム中隊にも仕掛けたビームの風――ビームソニックを放った。
しかも今度は、あの時よりも出力が高い設定されている。
そのビームソニックは、サイクロスの装甲を僅かに溶かし、腕部のマシンガンも銃口を溶解させた。
『クッ! こざかしい!』
口で強がるが、まずいと判断したバークは急いでサイクロスを後ろへと下がらせる。
しかしレインも追撃する。融解した装甲へ胸部の機銃を撃ち、少しダメージを与えようと試みた。
そしてバークも意図に気付き、必死に回避に神経を集中させる。
コックピット内部も僅かだが高温であり、それだけで装甲の状態が分かる。
だから回避に集中し、オーバーヒートを避ける為、イーグルの機銃が止まるの待った瞬間、サイクロスは一気に間合いを詰めた。
そして両機は、何度目かとなるビームブレードでぶつかり合う
「しぶとい!」
『アッハッハッハ! それはお互い様だ! それに、しぶとさアンタの方が上だろうに!――英雄の仕事は最後に死ぬ事だろうが! なのに何人もエースを狩りやがって! 死に戻りが過ぎるぜ!!』
「俺は自分で英雄と名乗った事はない!」
『だから本物なんだろうが!!』
両機はそう叫び合い、一本だけだったビームブレードをもう一本出した。
そして二刀流ずつで鍔迫り合いを始め、やがて仕切り直すかの様に距離を取った時だ。
――レインは叫んだ。
「お前みたいな奴は危険だ! その考え、思想は伝染する! 戦争の意味が変わるんだ!」
『綺麗ごとを! 貴様の方が俺のよりも命を撃っているだろうが! それに闘争こそが戦争の――いや! 人の戦う意味だろうが!!』
「そんな戦争! もう起こって堪るか!!」
レインの叫びと同時に、イーグルは再び蹴りを入れた。
しかし、先程よりも間合いが遠く、バークは思わず笑みを浮かべる。
『感情に負けたな! 間合いが遠いぞ!――貰った!!』
バークは叫び、足を貰おうとビームブレードを振るうため、両腕を上げた時だった。
「負けたのはお前だ! 相手の技量を疑ったな!」
ここまでやり合っていた人間が、間合いを間違う筈がない。
蹴りを放ったイーグルの脚部――足の先端周辺から、まるで鳥の足の様な鋭いビーム刃が出現した。
それは、そのまま蹴りと同時にサイクロスの両腕を焼き切った。
『な、なんだと!? し、しまっ――』
「失せろ! 貴様はエースではない! 戦争の権化だ!!」
両腕を失ったサイクロスへ、更に回し蹴りによりイーグルは、今度は両足も溶断した。
『う、うおぉぉぉぉぉ!!!』
達磨となり、バランスが取れなくなったサイクロス。
そんな敵へ、レインはトドメにビームガンを放った。
「……俺達はエースだ。人間だからエースでいられるんだ! 獣になったら終わりなんだ!」
最後にレインは、そう叫びながらビームに貫かれて爆発しながら海へと沈むサイクロスを見送った。
そして同時に、お決まりの様にオペレーターの声が聞こえてきた。
『イーグル1が敵エースを撃墜! 空母からのAS部隊も、艦隊も残り僅かです!』
「戦いはまだ終わっていないのか……!」
レインはそう呟き、急いでセルバンテスへイーグルを飛ばすのだった。
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