ふうせんぷかぷか

芽久檸檬

ふうせんぷかぷか

ある日、子どもがこうえんであそんでいました。

その子どものなまえはたろうくんです。


その子どもはふうせんを持って、すべりだいや砂場であそんでいました。

たろうくんはあかいふうせんがだいすきでした。


たろうくんはあかいふうせんがとくにおきにいりで、


ははおやにちゅういされても、ふうせんから手を離すことはありませんでした。


「たろうちゃん、手にふうせんを持ってあそんでいるところんだりして、

とんでいっちゃうよ」


たろうくんはききませんでした。


たろうくんがこうえんの中をはしっているとてのちからをゆるめました。


たろうくんはふうせんから手を離してしまいました。


「ああ、あかいふうせんが!!」


たろうくんはいそいで赤いふうせんをとろうとしましたが

赤いふうせんはみるみるうちにそらにとんでいくではありませんか。


たろうくんは

ははおやにあかいふうせんがとんでいくことをいうと

「いわんこっちゃない」ちゅういしたことを素直にきかなかったことを

ゆるしてくれませんでした。


あかいふうせんはどんどんあがっていきます。

ぷかぷかとゆっくりとたしかにあがっていきます。


とおくとおく、おとなのしんちょうではとどかないほどに。

とおくとおく、家のやねではとどかないほどに。

とおくとおく、ビルやとうの高さではとどかないほどに。

とおくとおく、ヘリコプターやひこうきではとどかないほどに。

とおくとおくとうちゅうに届くまでに……


ぴたっ。


あかいふうせんはうちゅうにはとどきませんでした。

それどころかゆっくりとたしかにおりていきます。


ゆっくりと、

ヘリコプターやひこうきよりもひくなっていきます。

ゆっくりと、

ビルや塔の高さまでひくくなっていきます。

ゆっくりと、

おとなのしんちょうにもとどかないくらいひくくなっていきます。



そして、たろうくんのところにまでひくくもどってきました。


おしまい。

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ふうせんぷかぷか 芽久檸檬 @jingaizuki

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