第13話 舞踏会と晩餐会・パート1(一応会場へ移動・・・)

女神アマネア大神殿内住居部分

アマニエリス専用の寝室

アマネア歴3512年12月9日

午後18時30分頃


アマニエリスは舞踏会用のドレスに着替えた。

鏡の前に立っていた自分はどう見ても、美しい女性ハイエルフにしか見えなかった。

ドレスを着るのは初めてではなかったものの、神官用の服よりかなりキツイと感じていた。


用意されたドレスの色は白のマーメイドタイプで上はホルターネックの仕上げだった。

背中は大胆と開かれていて、アマニエリスが持っている色気を最大限に活かすものだった。

当然と言えば、パット入りの白いスケスケのヌーブラ・スキンボディーバックレスのインナーを着なければならず、ダンス用の白いスケスケのショーツも履いた。

この白いショーツは彼女の下部を魔法で縮めることができて、彼女の世話をする女性神官たちの目を誤魔化した。


エリテリア宗教国一のメイクアップアーティストとヘアメイクアップアーティストはアマニエリスを担当し、彼女を更に美しく仕上げていた。

彼女は大神官であると同時にこの国の王族でもあったため、頭にダイヤモンドのクラウンを着用した。

銀色の髪型はツインハートのハーフアレンジに仕上がっており、アマニエリスを更に美しく見せていた。足にはヒール7センチでフィット感のある高級な白いスタンダードシューズを履いた。


世話担当の一人、コモンエルフのソンヤ・マリーセ神官はアマニエリスをなめ回すような視線で見ていた。アマニエリスは緊張していたため、欲望全開で見られていることがまったく気づかかなった。

それを見かねて、もう一人の世話役のハーフエルフのコリーナー・メジーナー神官は嘘の咳払いをした。ハッとなったソンヤ神官は普通の視線になった。


仕事を終えた、メイクアップアーティストとヘアメイクアップアーティストの女性コモン・エルフは寝室を出た。

寝室のドアの前で警備に当たっていたダークエルフのローシェア・ヴィサロッテ神官は部屋に入った。


「エーオマー猊下、お時間です。」


彼女とペアを組んでいた男性エルフのヘンリック・クアドロース神官はまだ部屋の前に立っていた。


「わかったわ、行きましょう。」


「お待ちください、猊下、ネックレスをお忘れです。」


金髪のソンヤ神官はアマニエリスに伝えた。


「ごめんなさい、ソンヤ・・・私、もの凄い緊張しているわ・・」


恥ずかしそうにアマニエリスが謝罪した。


「とんでもございません、猊下。」


ソンヤは心の中でこの世界で一番美しい女性であるアマニエリスを倒して、ドレスを脱がしたい衝動を必死に抑えていた。


アマニエリスは女神のネックレスをかけて、もう一度自分の姿を鏡で見た。


「よっし、準備万端だわ。」


アマニエリスは小さなガッツポーズをし、ドアの方向へ向いた。


「では猊下、ご案内致します。」


ハーフエルフのコリーナー神官を前にして、3人は寝室を出た。

男性エルフのヘンリック神官がそこで合流し、王族や要人専用の転送魔法陣があるレセプションサロンへと向かった。


女神アマネア教の聖騎士団の一個小隊は廊下を警備し、レセプションサロンの入り口も守っていた。

隊長である短い茶髪のハーフエルフの女性聖騎士のパメレーン・キナーが魔法陣の前に立っていた。


「お待ちしておりました、エーオマー猊下。こちらへどうぞ。」


右手を胸に当て、深いお辞儀をした後、魔法陣を手で指した。

パメレーン・キナーは神官であり、聖騎士でもあった。王都出身で下級貴族の出だった。

母親は普通の人間で父親は貴族階級の一番の下のキナー男爵だった。

彼女は神聖魔法の使い手であり、光の治癒魔法も使えていた。


「ありがとうございます、キナー隊長どの。」


アマニエリスと4人の神官、キナー隊長と他4人の聖騎士、魔法陣内に入った。

全員が入ったことを確認した後、聖騎士隊長が呪文を唱えた。


「サルタリス・グランデイス、エリアステス宮殿へ移動。」


全員は瞬時にエリアステス宮殿のレセプションサロンへ転移した。


宮殿のレセプションサロンの魔法陣の前で国王、宰相、第一から第三の王子たちと別の聖騎士隊の隊長である珍しく禿げていたコモンエルフの男性、マーノン・アビコーン隊長が待機していた。


「待っていましたよ、アマニエリス。」


国王である伯父のカイゼンは開口一番で嬉しそうに話した。


「お招きいただき、感謝致します。国王陛下。」


「相変わらず固いな・・・あれこれも全部、大神官であるアマニエリスのためだよ。」


「ありがとうございます、陛下。」


「謁見で気になる相手を見つけたかな?」


宰相である父親のカイテンが質問した。


「気になる方がおります、宰相閣下。」


父親と伯父は驚いた顔をした。


「素晴らしいことじゃないか。まさかケータス帝国の王子ではないでしょうかね?」


国王は心配そうに聞いた。


「あの男ではございません、ご安心ください、陛下。」


「俺じゃダメか・・・アマニエリスよ・・・」


全員は後ろへ振り向き、ジェオバード・エーオマー第三王子を見た。


「お前ってヤツ・・・」


国王は少し怒りを込めて、つぶやいた。


「第三王子陛下・・・ここでお答えすることが出来ません。」


無表情になったアマニエリスはジェオバードの目を真っ直ぐ見て、答えた。


「申し訳ございません、大変失礼いたしました、猊下・・・」


拒否されたことを読み取ったジェオバードは会釈し、一番後ろへ下がった。


「では会場へ行きましょう。」


宰相であるカイテンは話した。


聖騎士隊長2名を先頭に、全員はレセプションサロンを後にし宮殿内のパーティー会場へと向かった。


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