第12話

「でも、その魔物に口塞がれて拘束されて、一体シホはどうなったんだ?」

どこか楽しげな口調のスオウに。



「……ここにいますけど何か」

やっぱりそう返すしかないだけの私。



「目が覚めたら布団の上で、枕元には読みかけのファンタジー小説、か」


「…………」


「魔物に攫れて、山奥で過ごす主人公の小説だ」


「…………」


「良いなぁ、羨ましいなぁ」


「…………」


「そんな夢のある夢なら、俺も見てみたいなぁ」


「…………」

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