第11話

だって今でもリアルに口元を覆った手の平や、身体を羽交い絞めにされた感触を思い出す事が出来る。



意識が途切れるその瞬間に、見えた光景だって覚えてる。



どうにかようやく目が慣れて来た漆黒の闇の中。



昼でも薄暗い森林の中で、私を間近で見つめてたのは、金色に光る魔物の――片目。



獰猛な野獣の妖しい光。



「……絶対夢なんかじゃないから」



ファンタジー小説の続きなんかでもないし。



だけど。

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