十月二日 十六時 水曜日
図書館の静けさは家での静けさと違うように感じる。
家の静けさは寂しさを感じるような気がするのに対し、図書館の静けさは完璧に静かではなく、本をめくる時の擦る音や勉強の時のペンで書き込む音、人の移動による静かにしようとする足音。
図書館にある静かはどこか暖かみを感じられる。
そのことによるのか勉強はとても捗っている。
自習室にある時計を見ると勉強を始めてから既に二時間ほど経っていた。
それほど経っていたことに気づいたことで少し疲れを感じた。
隣では彼のペンの音で次々問題を解いていくのがわかる。
負けじと問題を解こうとするが、彼の様子を見て手をつけれなかった。
問題を解いてるだけなのに目を奪われていた。
彼の少し鋭い目に少し高めの鼻、適度に潤っている唇。
綺麗な顔立ちだと思う。
それだけではなく適度に筋肉がついており、姿勢をいい。
剣道をやってる影響だろうかと考えをめぐらせる。
彼は私と違って文化部ではなく、剣道部に入ってる。
聞くことによると小学生の時から剣道をやってると聞いた。
県の大会で優秀するくらい強いと聞いている。
運動もできて、勉強もできる。
それだけでないこともみんなしている。
「何か顔についてる?」
「えっ…。」
思いをはせていると話しかけられていることに気づいて慌てた。
「あっ、えっと、あっと、ここ、そうここがわからなくて。」
「ここね。ここは……。」
慌てて目に入った問題をわからないことにした。
やってしまった。
見てることがばれてしまった。
しかも、適当にいった問題を彼はすぐ教えてくれる。
わからない問題じゃなかったから申し訳ない気分になるし、説明自体も頭の中に入ってこないからさらに申し訳ない気分になる。
穴があったら入りたいとはこのことだろう。
それから勉強に集中した。
もう必死に問題を解くことに集中して、先のことを忘れようと。
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