第6話 土曜の終電上り電車
「電話に出ないわね。じゃ、折り返しかかってきたらってことにしようかな」
車での移動時間を挟んだのに、ついさっきまでの熱はすぐに戻ってくる。誰であろうと、誰が相手でもそうなるとは限らない。それに、付き合いの長さで決まるわけでもないことは今二人が証明している。
「涼介ちゃん……素敵よ……初めてじゃないみたい。いろんな意味でね」
目の前で懸命な姿の涼介に
◆
「今日は最高の一日だったわ。声をかけてくれて本当にありがとう」
「こちらこそありがとうございました。ほんと、俺、最初が綾乃さんでよかったです」
「じゃ、次は東京でね」
「はい! 旦那さんにもよろしくお伝えください」
「うん」
綾乃はまっすぐ改札を通り抜け、数歩あるいて顔だけ振り返る。涼介は小さく手を振った。
土曜の終電上り電車。
朝から出ずっぱりだったこともあり、携帯のバッテリーはあまり
(彼とは、続けていきたいな)
「お土産話楽しみにしておいてね、亮介ちゃん」
他に乗客のいない車内で、微笑みながら一人ごちた綾乃だった。
綾乃のおでかけ 1 女友達と御朱印と筆 宿羽屋 仁 (すくわや じん) @jsrm
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