第3話 討伐完了

光が考えた作戦、それは、、、


「避け続ける!」


「は?」


再び連射される雪玉を避け続けた。


「なにやってんの光ちゃん、それじゃあさっきとなんも変わらないよ」


「それで良いんだよ。途中までは」


しばらく避け続けていると異形が一瞬雪玉を発射するのをやめ先程のような大きな雪玉を射出してきた。


「今だ!」


大きな雪玉が来る瞬間、光は思いっきり飛び上がった。


「そっか。雪玉を飛び越えて突撃を」


「いや、そうじゃなくて」


「へ?」


光はギリギリ雪玉を飛び越えれずに雪玉に擦り、上空へ吹っ飛んでいった。


「ダメじゃん光ちゃん」


「いやこれで良いの。さぁ決めるよルートル」


「え?もしかして」


「上から突撃だー!」


上空でステッキを構えて、異形に向かって急降下していった。


「いっけぇー!」


上から降って来る光に異形は驚いて避けようとしたが間に合わず、頭から切り裂かれ体が綺麗に真っ二つになった。


「これで大丈夫だよね?」


「う、うん多分大丈夫だよ」


きちんと真っ二つにした時に核も真っ二つに出来たらしく、異形の体がどんどん消えていった。


「よしこれで討伐完了だね」


「そうだね。じゃ給料ちょうだい」


「え?」


「ルートル言ったよね、一回の討伐につき一万って」


「いや言ったけども」


「だったら払ってよ、初任給」


「い、今のは研修だから」


「研修の時期も給料貰えるでしょ」


「う、うぅ。今度まとめて払うから今日のところはご勘弁を」


「うーん、まぁ後払いっていうなら仕方ないか」


そんなこんなでルートルと話をしていると


「あれ?ここから異形の反応があったんだけど、、、」


声と共にいきなり空から人が降ってきた。


「え、なになに?人型の異形?」


「異形だなんて失礼だなぁ。同じ魔法少女なのに」


「魔法少女?」


「そ、私は魔法少女、白燐桜花」


「あ、えっと、その、魔法少女、光です」


「そんなに緊張しなくても良いから。それじゃ着いてきて」


「え?あ?ん?」


光はわけがわからず混乱していた。


「大丈夫だよ光ちゃん、その魔法少女について行って」


「わ、分かった」


光はわけのわからないまま白燐さんについて行った。


「あ、あの」


「ん?どうしたの?」


「これって一体どこに向かってるんです?」


「敬語は要らないよ。今は私達魔法少女の本拠地に向かってるよ」


「魔法少女の本拠地?」


「私達以外にも後三人の魔法少女が居るんだ」


「三人も?」


「うん。光ちゃんが来て全部で五人。これでやっと全員揃ったんだよ」


「それってどういう?」


「光ちゃんも契約したでしょ?ぬいぐるみみたいな精霊と」


「うん」


「この世界にいる精霊は全部で五人だから魔法少女は全部で五人ってわけ」


「へ、へぇ〜」


「最後の一人が中々見つからないから、ってっきり異界に帰っちゃったかと思ったよ」


「そういえばその異界って何なの?」


「異界って言うのは簡単に言うと異世界。その異世界から逆異世界転生してきたのが異形達」


「じゃあ異形って元は人間?」


「いや、そう言うわけじゃなくて、まぁ簡単に言うと魔物だね」


「なら良かった」


人殺しだったかもと考えたらゾッとする。


「異形が何故この世界を破壊しようとしてるかは分からないんだけど、異形達がこの世界に悪影響をもたらしてるのは間違いないから」


「だから魔法少女は異形を倒すために戦うのか」


「んーまぁそんなとこ。でもそんな気負わなくていいよ。私達も魔法少女になってそんな経ってないけど、みんな気楽にやってるよ」


「気楽に?」


「うん。異形が出てきたらそれを倒すだけだし、慣れたら異形程度どうってことないしね」


「異形退治が大したことない?」


「そうだよ。光ちゃんだって一人で異形退治できたじゃん」


「でも、結構危なかったけど」


「初めてプールに入った時に、バタフライなんて出来ないでしょ?」


「そりゃあね」


「それと一緒。魔法少女の力も慣れていけばもっと上手く使えるはずよ」


「そういうもんなのかぁ」


「そういうものよ。しかも光ちゃんはセンスありそうだからすぐ慣れるよ」


「センス?」


「光ちゃん、しれっと今私の速度に追いついてるでしょ?」


「それは魔法少女の力で色々強化されてるから」


「私これでも全力で移動してるんだけど、光ちゃん結構余裕そうじゃない」


「ま、まぁそうですね」


「精神が強い証拠ね。もしかして寺に修行でも行ってた?」


「そんなことしてないよ。ただ」


「ただ?」


「いじめに慣れてるだけ」


「いじめに慣れたか。あっ、そろそろ着くよ、ほらあそこ」


桜花が指差した場所はただの一軒家だった。


「ほんとにあの一軒家なの?」


「そうだよ。まぁ中に入ったら分かるって」


そうして光達はその一軒家の中に入っていくのだった。

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