第2話 赤雪だるま型異形

車よりも早い速度で道を駆け抜けてほんの20秒ほどで異形のいる公園に着いてしまった。


「この力あれば学校遅刻せずに済むじゃん」


「魔法少女の力をそんなくだらないことに使わないの」


「それで異形とやらはどこにいるの?」


「滑り台の上にいるよ」


「へ?」


光が滑り台を見ると赤色の雪だるまのような化け物がいた。


「え、なにあれ、キモ」


「あれが異形だよ。異形も僕たちと同じで普通の人には見えないんだ」


「見えないんだ。それなら別に害はなくない?」


「それならいいんだけどね。そうはいかないんだ。ほら異形を見てみて」


異形のことをよーく見てみると、異形の足元の地面がどんどん黒ずんでいっていた。


「なにあれ」


「異形は近くの空間を破壊していくんだ。空間が破壊されるとそこにいた人は消滅してしまう」


「しょ、消滅?」


「行方不明事件の犯人の大抵はこの異形による仕業なんだ」


「ちょ、それって」


「他にもその空間にあった物は自然に破壊されたり土地が痩せ細っていくんだ。だから異形は退治しないと」


「そう言うことは早く言ってよ!」


「え?」


「ちょ、ヤバいじゃん。そう言う大事なことを先に言ってくれないかなぁ」


「え、いや、大事だけども」


「ルートル早くあいつを退治するよ」


「な、なんかよくわからないけど、やろう光ちゃん」


光は異形に向かって高速で走り出した。


「死ね!」


滑り台の手前で思いっきりジャンプして、その勢いのまま異形に切りかかった。


異形はそれを直前で避けようとしたが狭い滑り台の上じゃ避けきれず光のステッキが異形の頭を思いっきり切り裂いた。


「よーし楽勝」


「まだだよ光ちゃん」


「んなわけ、っては?」


異形の方に振り返ると切り裂かれた頭が再び体とくっ付いていた。


「あれ?今切ったよね」


「異形は体のどこかにある核を壊さないと倒せないんだよ」


「そう言う大事なことは先に言ってって言ったよね?」


「光ちゃんがすぐに飛び出しちゃうから」


「う、そ、それで肝心の核はどこにあるの?」


「分からないよ」


「へぇ〜なるほどなるほど、って分からないの?」


「でも大体検討はつくよ。基本的に異形の頭や中心部、異形が攻撃から過剰に守っている所とか」


「つまりは手当たり次第ってこと?」


「うーん、まぁそう言うこと」


「それなら話は早いね」


光はいつのまにか滑り台から降りてきていた異形に向かって再び走り出し、体の中心部に切りかかった。


異形はそれを見て体を思いっきり横に捻って攻撃を避けた。


「もしかして」


もう一度中心部に切りかかると今度は思いっきりしゃがんで中心部へ攻撃が当たるのは避けた。


「ルートル、見た?」


「うん。中心部を攻撃されるのを異様に避けてる。これは核は中心部にあると見て間違えないね」


「核さえ分かっちゃえばこっちのもん」


そうして光はもう一度異形の中心部に斬りかかろうとした時


「光ちゃん!」


異形が赤い雪玉を飛ばしてきた。


「あっぶないな」


光は当たる直前に横に避けることが出来た。


「冷静に考えたらあっちも生物だから殺されそうになったら反撃して来るよね」


「気をつけて光ちゃん。あれは多分普通の雪玉じゃないよ」


「分かってるって」


異形は次々に雪玉を飛ばして来る。


「魔法少女の力のおかげで雪玉がシャボン玉に見える」


光は危なげなく雪玉をかわしていった。


「光ちゃん避けるだけじゃなくて攻めないと」


「わかってる。でも避けるのは簡単だけど物量があるから避けながら突っ込むのは、、、」


光がどうしようかと悩んでいる隙に異形がいきなり大きめの雪玉を投げて来た。


「え、うわ!」


いきなりのことで光は避けきれず雪玉に掠ってしまい、公園の奥まで吹っ飛ばされてしまった。


「いってて」


「光ちゃん大丈夫?」


「ま、まぁ掠っただけだから」


「ごめんね光ちゃん、無理に魔法少女にやらせて怪我もさせちゃって、、、って光ちゃん?」


「ルートル、いいこと思いついた」


「良いこと?」


「あの異形に近づいて一撃で倒す方法」


「い、一撃で?」


「光の予想通りならね。さぁ、討伐開始だ」

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