魔法少女達で行く異形討伐
光不愛婆
第1話 魔法少女(給料有り)
「光、ゲーセン行こうぜ」
ある日同じ中学の親友の一人、焔が帰りにゲーセンに誘ってきた。
「良いけど他のみんなは?」
「沙莉は用事があって来れないって言ってたけど、草乃と蒼雷は多分来るよ」
「んーなら行く」
そうしてさっさと光は家に帰り着替えてゲーセンに向かった。
「あれ?蒼雷だけ?」
ゲーセンに着くと蒼雷しかいなかった。
蒼雷も同じ中学でクラスは違うけど小学校時代からの親友だ。
「草乃はやっぱ来れないって、焔は知らん」
焔のやつ誘っといて来ないのかよ、と思っていたら光のスマホがなった。
焔からだ。
「ねぇ焔何やってんの?」
「すまん、親に勉強しろって言われて行けんくなった。二人で遊んでて」
そう言って電話は切られた。
「焔来れないって」
「どうする?帰るか?」
「少しだけ遊んでこ」
そうして光と蒼雷はゲーセンに入りメダルゲームをした。
一時間ほどすると光のメダルは底を尽きてしまった。
「あーあもうメダル無くなっちゃった」
「どうするメダルいるか?」
「うーんちょっとクレーンゲーム見てくる」
「オッケー、しばらく俺はここで遊んでるわ」
光はなんとなーくクレーンゲームエリアを彷徨いていると
『ここから出して、ここから』
「なんか今聞こえたような」
声のした方に向かうと亀のぬいぐるみが沢山置いてあるクレーンゲームがあった。
「ここから声がしてたのかな?」
『出して、ここから』
「やっぱりなんか聞こえるな」
とりあえず光は百円を入れてみた。
クレーンゲームが起動すると明らかに見た目の違う亀のぬいぐるみが少し動いた。
「あれかな?」
そのぬいぐるみに向かってアームを下ろすとアームはちゃんとぬいぐるみを掴んで持ち上げた。
「でもどうせ上あがった瞬間に落とすんだよなぁ」
そう思っているとアームが力を抜いているはずなのにアームからぬいぐるみが落ちなかった。
「ぬいぐるみがアームにしがみついてる?」
そうしてそのまま一発で取れてしまった。
「これ本当にぬいぐるみなの?」
取り出し口からぬいぐるみを取り出すと、
「助けてくれてありがとう。僕ルートル」
「よ、よろしく。ひ、光です」
「光ちゃんね、よろしく」
なんなのこのぬいぐるみ
「さて、僕の声が聞こえてるってことはそう言うことだよね」
えっ、な、なに?怖いんだけど
「光ちゃん、魔法少女にならない?」
「•••••」
光は無言でそのぬいぐるみを取り出し口の中に戻し、その場を去った。
「あーなんなのあれ、もしかして幻聴かな?」
そうしてそのまま蒼雷のとこへ戻った。
「おっ、光。なんか取れたか?」
「いや何の成果も得られなかったよ」
謎のぬいぐるみのことは伏せておいた。
「そっか。あ、でもこっちはさっきジャックポット当てたぜ」
「え、すご」
「どうする?メダルあげるぞ」
光は少し悩んだが
「いや、いいや。ちょっと今日疲れてるみたいだから帰るね。さっき幻聴も聞こえてきたし」
「マジ?幻聴はもうヤベェやつやん」
「うん。だから先に帰るね」
「分かった。俺はもう少しこの台から搾り取ってメダル貯金しとくわ」
「ありがと、じゃあね」
「ん、またな」
そう言って光はゲーセンを出た。
「おーい光ちゃん。魔法少女になってよ」
「なんだかまだ幻聴が聞こえる。早く帰って休まなきゃ」
「幻聴じゃないって、本物だから」
「•••••」
「あーもう、こうなったら」
光の前に急にルートルが立ち塞がった。
「はぁ、もうなに」
「だから光ちゃん魔法少女になってって言ってるでしょ」
「なんで光なの」
「魔法少女には僕たちの声が聞こえる女の子じゃないとならないんだ」
「あーじゃあ光には無理だ」
「えっ、なんで」
「光、女の子であって女の子じゃないだもん」
「え?」
「初めて会う人にはみんな女の子って思われるけど付き合いが長い人はみんな女の子であって女の子じゃないって言うよ」
「なら大丈夫」
「は?」
「女の子であって女の子じゃないってことはつまり女の子(仮)ってことでしょ」
「えっ、いや、え?」
「それにそもそも僕たちの声は女の子じゃないと聞こえないはずだよ」
もしかして光はこいつの声に反応した時点でアウトだったの?
「だから僕と契約して魔法少女になって異界から攻めてくる異形を倒してよ」
「契約?」
「契約、それがどうしたの?」
「契約ってことは給料出るの?」
「きゅ、給料?」
「そうお金」
「え、えっとね、給料はその、、」
「給料出ないならやらない。ってことでさよなら」
「えっ、いや、ちょっと待って」
ルートルが再び光の前に立ち塞がった。
「分かった給料出すよ。一体討伐につき一万、これでとう?」
「えー。その討伐価値がどれくらいかもわかんないし」
「そ、それに医療費無料になるよ」
「それも今と変わらないしなぁ」
「あーもうじゃ倒した分の一万+時給1500円」
「もう一声」
「時給1700円」
「もう一声」
「2000円!これが限界」
「うーん仕方ない。とりあえずそれで契約してあげるよ」
ルートルの顔が一気に明るくなった。
「じゃあ契約するから僕を抱きしめて」
「えー」
「そんな顔しないで、ほら早く」
光はルートルを抱きしめた。
「光ちゃんは僕と契約して魔法少女になりますか」
「は、はい」
「魔法少女になって異形と戦うことを誓いますか」
「給料が払われるのであれば」
「それじゃあ光ちゃん、僕はルートルと契約します。って言って」
「光はルートルと契約します」
本当にこんなんで契約出来るの?
そう思った瞬間、光の体が光出した。
「え?なにこれ!」
光の服装は輝きながら変化していき、最終的に黄色をモチーフとしたザ魔法少女の服装に変わり、手には短剣のようなステッキらしきものがあった。
「なんで急に、それにルートルどっかいきやがったし」
「僕はここだよ」
頭の中から声がした。
「えっなになになになに」
「僕は光ちゃんと契約したから光ちゃんと合体したんだよ」
「が、合体?」
「そう。これで光ちゃんも立派な魔法少女だ」
「早く変身解いてよ。これ蒼雷に見つかったらなんて思われるか」
「分かったよ、じゃあ今、、、ん?」
「ねぇ、早く、、、どうしたのルートル?」
「今異形の反応があった」
「異形?あー光が倒さないたいけないやつね。でも異形がどんなやつなのかもどこにいるかも分かんないよ」
「この道をまっすぐ行った先の公園にいる。走って」
「えーもう仕方ないなぁ」
そうして光が走り出すと。
「あれ?周りの人が動かなくなった?」
「これが魔法少女の力をだよ。魔法少女になると動体視力が上がったり一時的に体力や筋力も上がるんだよ」
「へぇー、便利だなぁ」
「他にも魔法少女ごとに固有の魔法があったりするんだけど、それはまた今度」
「そんなのもあるんだ。なんか楽しそう」
「魔法少女の力は精神力が関係してくるから、常に前向きで
なーんだそんなことで強くなれるのか
「それなら簡単。昔にいじめられまくって光の心は鋼の心だからね。精神力には自信があるよ」
そう言って光は公園に向かって走り出したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます