第23話
幼稚園のバザーが過ぎた頃、久々に上田さんに会った。
上田さんは、幼稚園に入る前からの気心の知れたママ友だ。
本音でしゃべれる数少ないママ友…。私は、上田さんに、今回の、出来事を話そうと思った。
でも、話を始めたのは、上田さんの方だった。
「アイミちゃんのクラスどうなん?いろいろあるって、噂は聞くで〜😂」
「そやなあ。」
「この前、太郎君のトレーナー盗難事件あったんやろ?すごいよな!
幼稚園児が、盗みって💦💦
将来、絶対悪いやつになるで〜。」
どうしよう?アイミが、疑われてるってことは、知らずに話してるんよね?
恐る、恐る聞いた。
「誰かに聞いたん?」
「あー。幼稚園の先生たちと仲良いから、いろいろ聞くねん。園長の愛人達のバトルとか、先生同志の確執とか。面白いで。もちろん、園児の事も、保護者の事も聞くなあ…。月謝が高いから、それなりにモラルがある人が通ってるんかな?と、思ってたけど、やばい親とか、やばい子とか、いるよな〜。」
上田さんは、続けた。
「そのトレーナー紛失事件な。結局、犯人見つかったらしいで?」
ん?
え?
は?
犯人見つかった?
って?
て、なに?
「この前バザーあったやん?バザーの出品物を先生たちが仕訳してたら、幼稚園のトレーナーが入ってたんやって。で、裏をみたら、マジックで「た」って書いてあって、太郎君の物やったんやって〜。で、担任の先生が、教頭とか、園長に言いに言って、事務所前のバザー出品物箱の辺りの監視カメラを調べたら、犯人映ってたらしい。」
「ごめん🙏✨「た」って、書いてあったら、太郎君の物なん?太郎君の保護者さんは、トレーナーに名前書いてないって、言ってたけど?」
「あー。太郎君な。「た」っていうひらがなだけ自分で書けるねん。親が気づいてなかっただけで、トレーナーの内側に大きく「た」って書いてあったんやって。自分で書いたんやろ?担任が太郎君の字やって、すぐに分かったんやって。」
「で。犯人って誰なん?」
「誰やと思う?チエちゃんっていう子の親らしいわ。コレって知ってる人少ないから、あんまり言わんといてな。
多分、証拠隠滅したかったのか。家に置いとくのは、忍びないと思ったのか?バザーの出品物箱に入れて、素知らぬふりして、今も幼稚園来てるらしいで〜。担任の先生も、本人には、バレてること言ってないらしい。」
私は、目の前が、真っ白になった。
我が子の潔白を証明する証拠あったやん。
ていうか、チエちゃんママ我が子が犯人って、わかってた?よね。
しかも、園長も担任も知ってた?
許せん!
私は今までの経緯を上田さんに話した。
「え。そうやったん。それは、酷いわ。で、どうするの?園長に抗議しに行くの?」
「まず、担任に、言うわ。私とアイミの事、何やと思ってるねん?てね。」
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