第18話

チエちゃんママとは、何度かやりとりをしていて、少し仲良くなれた気がする。

前から聞きたかった事。やっと、聞いてみた。

「アイミって、幼稚園の事、あんまりしゃべらないんだけど、様子がわからなくて心配なんよね。チエちゃんはどう?話してくれる?」

「実は…。このクラス問題が多いらしくて、保護者も子どもも、よくもめるらしいよ?

チエは、誰とでも仲良く出来るし、上手くやってるみたいだけど…。

アイミちゃんの様子、チエにまた聞いとくわ。どんな感じ〜って。気になるよね。」


あー。こんな親切な人と知り合いになれて良かった。

私の、聞きたいこと知りたいこと察知して、フォローしてくれて、ママ友も良いもんだな〜。すごく助けられてる。

チエちゃんも良い子だし、この幼稚園に入って、唯一良かったことって、チエちゃん親子と知り合えたことかも?

そんな事を思いながら家に帰った。

家に帰って、幼稚園の事、久々にアイミに聞いてみた。

「幼稚園って楽しいの?」

「んん。楽しくは、ないよ。でも、みんな行ってるし、家でお留守番ってわけにも行かないから、しょうがなく行ってる。面白い事も無いことも無いけど…。」

え。

アイミって、幼稚園児?これって、世間を知ってる大人の考えよな?

続けて、言いにくそうにアイミが話し始めた。

「チエちゃんが、自分のやった事をアイミのせいにする。アイミが本当の事言っても誰も信じてくれへん。」

ん?

何のこっちゃ?

「どういう事?」

「この前、トレーナーが、お教室の真ん中にポツンって落ちてたから、チエちゃんが、寒いから着てかえろって言って、着て帰ってん。次の日、俺のトレーナー誰が取ったんや〜って、太郎君が探してて…。多分、落ちてたトレーナーの事かな?って思ってんけど、急にチエちゃんが、アイミちゃんが着て帰った。って言って…。アイミが、着て帰ってないって言ったのに、みんな嘘やろ?って言って、アイミのせいにされた。」

え。

コレって、この前、クラスのグループラインで発信してたトレーナーの事?

「それで、誰か見てなかったん?チエちゃんが着た時。」

「みんな園庭で遊んでた。外遊びの時間やって、アイミとチエちゃんが、外遊びの帽子を2人とも忘れちゃって、お教室に2人だけで取りに行った時やから、お教室には他に誰も居なかった。アイミは、自分のトレーナー着てたから、落ちてたトレーナーは、着てないよ。上からジャンパーも着てるから、落ちてたトレーナー着なくても寒くないから。」

…。

「そうよね。自分のトレーナー着ていってたもんね…。」

自分の子には無関係と思ってたトレーナー紛失事件、実は、ガッツリ自分の子が巻き込まれていた。

何で、そんな事になるん?

季節は、秋と冬の間?トレーナー着てる子とか、ジャンパー着て、中は何も着てない子とか、トレーナーは着てないけど、ジャンパー着てる子とか…。ちょっと服装がいろいろな時期。誰が何を着てて…。とかまで、気にしてないし、覚えてない。

どうしよう。

チエちゃんママには聞きにくい。

どうしよう?

他に聞ける人なんていない。

そうだ。

クラス役員の人に聞こう。役員さんだから対応してくれるかも?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る