1章、帰還した勇者達
第0話
勇者によって魔王を滅ぼすことで世界は救われました。
平和になった世界で勇者は末永く幸せに暮らしました。
物語はハッピーエンド。
「そんな風に終わるほど世界は都合よくできていない」
そう呟いた青年の周りは死屍累々とした光景があった。
建物は崩れ落ち、壁には人間であったであろう赤い染みが目に入る。
これはわずか数時間前に起きた出来事だ。
「何が勇者だ!お母さんとお父さんを返せ!」
そこには子供が一人の青年向かって石を投げつける姿があった。
まるでこの世界にはこの二人しかいないかのように。
事実、この世界には子供と青年の二人しかいなかった。
「ここまで来るまで長かった・・・悪いな少年。恨むなら力のない自分を恨め」
かつて勇者と呼ばれた青年はこの世界の魔物を殺し、魔王を殺し、そして人間を老若男女問わず殺し、街を破壊した。
この世界には生命体と呼べるものは何一つなかった。
「なぁ、世界を滅ぼした勇者が元の世界に戻って受け入れられると、思うか?」
「元の世界に戻るだって!?お母さんやお父さんだけじゃない!これだけ殺しておいて自分勝手なことを言うな!」
「そうだな。俺もそう思う」
そういって少年の命も奪い、世界には一人の青年だけになる。
そしてその青年も、この世界から姿を消した。
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