第9話

日本庭園を抜けるとその奥にまた建物が建っていて


そこに入るなり


恭ちゃんが通る道が開き沢山の人が90度に頭を下げて「ご苦労様様でございます!」と言う挨拶の声が通り抜ける



恭ちゃんは何一つ返す事なく食堂と書かれた広間に足を運び私を椅子に下ろしその隣に自分も腰を下ろす




「ご苦労様でございます。頭、何を?」


……かしら?



スッと現れた恭ちゃんよりも歳上の30代くらいの男が、恭ちゃんに尋ねる





「リンに聞いて」

恭ちゃんは無表情にそう言うと


「姉御、何をお持ちしましょう?」



………は、あねご?


私はまた恭ちゃんの顔を見るけど……

恭ちゃんはいつもの無表情なまま



「何食べたいの?リン」


いや、そうじゃないんだけど………


恭ちゃんに聞いても答えてなんてくれないだろうから……



「焼き鮭定食」


そう答えると恭ちゃんは目だけをその男の人に向ける



「只今」




……………

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