第15話:ウハウハな新しいマンション。

出世するってことに通じるのかどうかは分からないが、こう言うこともあった。

コンビニで買い物をした帰り余ったつり銭で買った宝くじ、今までだって

一度も当たった試しはなかったけど、まあ夢だしそう思ってバラで10枚買った。

そしたらなんと一億当たった。


連番買っとけばよかたって思ったけど、一億円だもんな。

ラッキー、めっちゃツイてるじゃん怖いくらいだ。


ここまできたら、もう完全に寧々ちゃんのおかげとしか言いようがない。

俺はギャンブルにでも手を出そうかと思った・・・。


でも寧々ちゃんに聞くと、欲を出しちゃダメなんだって。

欲を出したら身を滅ぼすよって言われた。


資産でも増やそうと欲を出すと詐欺まがいの投資会社に騙されて泣き寝入り

するのがオチ・・・世の中そんなもん。

寧々ちゃんの言う通り、人間欲を出すとロクなことがないってことなんだろう。


人は分相応・・・でも俺は違う。

寧々ちゃんが俺のそばにいるかぎり・・・恋人でいるかぎり大丈夫。

ってやっぱり私利私欲に走るよな・・・そこは抑えなきゃ。


で、一つの疑問・・・このことってピーチ姫にも当てはまるんだろうか?

ピーチ姫もアゲマン?

寧々ちゃんと姉妹だもんな・・・それに何とか山のなんとか山参って仙人の

修行受けてるみたいだし・・・。


ミッチーがいきなり神主に抜擢されたりして・・・。


で、そんなに、なにもかもうまく事は運ばない。

な訳で、ミッチーはピーチ姫との新たな生活のため就職活動をはじめた。

ピーチ姫に彼氏を出世させる能力があって、ミッチーにピーチ姫効果が

あるといいけど・・・。


で、そのピーチ姫は、なにもしない寧々ちゃんと違って、甲斐甲斐しく

俺たちのために料理、洗濯、掃除とけなげにこなしていた。

家政婦じゃないんだから、ちょっと気が引けた。


掃除機をかけながらピーチ姫が言った。


「お姉ちゃん・・・邪魔・・・どいて」

「今は、ナイスバディーでもゴロゴロして動かないとデブっちゃうよ」

「一郎さんとエッチばっかしてないで、手伝ってよ・・・」


「あんただってミッチーとアヘアヘやってるじゃない・・・」

「それに〜主婦ふたりもいらないでしょ・・・」

「あんたのほうが、私より器用なんだから、あんたがやったほうがいいのよ」

「私そういうの、どヘタだから、無理よね」


「昔っからそうだったよね、お姉ちゃんは・・・」


「ふん、あんたより私のほうがありがたいのよ・・・私にはご利益がある

グッズなんかも出てて、みんなから敬われてるのよ」


「あんたなんか桃の節句の時だけ、もてはやされるだけでしょ」

「私とは格が違うの」


「でも、お姉ちゃんに関わった男はみんな最終的には身を持ち崩してるわよね」

「お姉ちゃんは男にいい夢見せておいて結局男を堕落させるのよ」

「だから好きな男にバケモンだ妖怪だって訴えられて坊主に封印されたんだよ」


「ふん、それは欲を出す男の方が悪いからでしょ」


「一郎さんだって、どうなっちゃうか分かんないよ」

「もうすでに目の前が見えなくなってるかも・・・」


「ずえ〜ったい、私がそうはさせないから・・・もし堕落しそうになったら

別れるって三行半、叩きつけてやるから・・・」


寧々ちゃんは、はっきり別れるって言い張った。

俺は別れるつもりはないから、そうならないようにするには俺が自重するしか

なさそうだ。


まあ、だけど今より広めの部屋がいるって思った俺は貯金と宝くじで当たった

金で新しいマンションを買った。

で、みんなを引き連れてそのマンションに引っ越した。


そこは50階建ての高級マンションの最上階の広い部屋。

窓から綺麗な都会の夜景が見えた。


俺は出世したんだ。

寧々ちゃんがいるかぎり、俺には常に運が回ってくるって寸法・・・


でも、それっていいんだろうか?

自分の実力じゃないのに・・・いくら寧々ちゃん効果だとしても、この一連の

出来事を、ふと疑問に感じる俺だった。


実はその疑問に感じることが一番大事なんだ、人間にとって俺にとって。


つづく。

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