第6話:もう、勘弁してくれ、うんざりだわ・・・。
「ナナちゃって、イッ君の彼女?」
「彼女だから、私の名前、間違えたんでしょ」
「違うって・・・彼女なんかいないよ・・・」
「ナナちゃんてのはネットで知り合った友達・・・それだけ」
「つい出ちゃったんだよ・・・ナナちゃん、寧々ちゃん、ほら似てるだろ?」
「ほんとに?」
「あのさ、もし俺に彼女がいたって寧々ちゃんには関係ないことだろ」
「・・・・・」
「関係ないって・・・私を誘拐して拉致して拘束しといて?うう」
「え?・・もうなに泣いてんだよ・・・そのくらいのことで」
「それに誘拐して拉致して拘束ってなんだよ・・・俺を犯罪者みたいに言うなよ」
「私のことなんかどうだっていいんだ・・・」
「なんで、そういうことになるんだよ」
「まるで寧々ちゃんが俺の彼女で俺が浮気して君を泣かしてるみたいじゃないかよ」
「そうじゃないの?」
「あのな・・・」
「やり難い性格・・・やり難い女・・・白蛇ってみんなそうなのか?」
「もういい・・・俺もう風呂に入って寝る・・・」
「あ、私も一緒に入る」
「蛇となんか入らねえよ」
「蛇じゃなくて白蛇・・・もう何回言えば分かるの、アホたれ」
「知るか・・・風呂はやめ・・・寝る」
「え?もう寝ちゃうの・・・私をほったらかしにして?・・・エッチもしないで?」
「エッチもセックスも交配も交尾もしない・・・」
ってことで、俺はエロ〜い寧々ちゃんをほったらかしたままとっとと寝てしまった。
「ねえ、起きて?・・・エッチ・・・エッチしようよ〜」
(エッチ、エッチって・・・もう、勘弁してくれ、うんざりだわ・・・)
そして次の朝、俺は目覚めてびっくりした。
俺のすぐ横に、デカめの白蛇がデロ〜って寝てたからだ。
目の前の光景を見て俺は、うわ〜って自分がビビるのかと思った。
寧々ちゃんの本体をはじめて、まじまじと見たからね。
でも不思議にもそうはならなかった。
まぶしいくらいの真っ白な蛇、でもって白いんだけど虹色に輝くウロコ。
なんて神秘的で美しいんだ。
俺が起きたもんだから、白蛇の寧々ちゃんも目を覚まして俺のほうを見て
赤い舌をペロっと出した。
で、はっと自分が白蛇になってることに気がついたのか・・・徐々に人間の
寧々ちゃんに変わっていった。
「ごめん・・・油断してた・・・びっくりしたよね」
「1000年も閉じ込められてたから人間になる能力も衰えてきてるのかな」
「ほら見ろ、エッチなんかしてたら、そうなってたんだよ」
「目が覚めたら俺の横にいるんだからなでかい蛇が・・・あ、白蛇が」
「もう白蛇にもどらないようにするから」
「見たんだよね、私の本当の姿」
「昔話だったら正体を見られたら、その場から立ち去るってパターンよくある
話なんだけど。私は出て行かないからね・・・恩返しもまだだし」
「恩返しってなんだよ?」
「恩返しはエッチ」
「あ〜それ以上言うな・・・シャラップ」
「ごめんね、驚かしちゃって」
「うん・・・まあいいいけどな・・・って言うか」
「たしかに俺、爬虫類は苦手だし、もろに蛇なんか見たらビビっちゃうところ
なんだけど・・・なんだろ」
「白蛇に戻ってる寧々ちゃんを見ても嫌だって思わなかったな」
「むしろ神々しいって言うか、めっちゃ特別感あるっていうのかな」
「神がかりな生き物って近寄りがたいオーラを放ってるんだって思った」
「それこそおいそれとエッチなんかできないわ」
「人知を超えた生き物って神秘的なんだよな・・・それに美しい」
「俺、そういうのにめちゃ弱いんだ」
つづく。
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